施政方針・あいさつ集

令和3年度 施政方針

 本日、第2回定例市議会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては、ご多忙の中、ご参集いただき誠にありがとうございます。
 先ほどは、明日、東日本大震災の発生から10年の節目を迎えるにあたり、皆様と共に黙とうを捧げさせていただきました。
 震災で犠牲になられた方々に、改めて哀悼の意を表しますとともに、被災地の復興に尽力して来られた全ての皆様に、心からの敬意を表したいと思います。
 本市におきましても、平成30年7月豪雨災害をはじめとする、全国各地で頻発する災害を大きな教訓として、市民の命と財産を守る防災・減災への取組をしっかりと進めていかなければならないとの思いを強くしたところでございます。

 それでは、令和3年度の各会計予算をはじめとする議案のご審議をお願いするにあたりまして、私の市政に対する基本方針と重点施策の概要を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 ただ、就任から間がなく、私のこれからの市政に取り組む考えや構想等々の姿勢を、今定例会に上程しております令和3年度当初予算や、差し迫る4月1日付けの組織機構改革、人事異動では、その一部しかお示しができません。
 しかし、令和3年度を通じて絶え間なく新たな政策に取り組み、市民の皆さんの負託に応えられる市政運営を行いたいと、改めて意を新たにしているところでございます。

 ご案内のとおり、先の市長選挙は現職市長との一騎打ちとなり、市を二分する激しいものとなりました。私も決死の覚悟で臨み、その中で現職市長の高齢化や多選問題を問い、財政悪化も俎上に上げました。そして、民意反映のあり方も十分ではないのではないかと訴えをさせていただきました。
 その結果が、42,318票という得票数につながり、私は今ここに市長として登壇させていただいている訳でございます。
 おそらく、今治市の歴史に語り継がれるであろう今回の激しい選挙に、私自身、なぜ身を投じたのか、その原点を決して忘れることなく使命を全ういたしたいと考えております。
 私が掲げた公約は、本日お示しをする施策方針に盛り込まれておりますが、市民が選んだ今治の明日、未来の姿なのだと認識しております。
 そして、このように市民に選んでいただくという、民意尊重の政治理念こそが、私が選挙戦を通じて一貫して訴えた「市民がまん中」という理念でございます。
 少子高齢化や人口減少、日本経済のダウンサイジングの時代に、新たに新型コロナウイルス感染症の感染拡大や爆走デジタルが加わり、新たなページをめくる時が来た、新しい理念と政策が必要だということであり、前市長が成し遂げられた様々な業績を引き継ぎ、その上で民意に応えられる新しい市政を実現し、行政だけではなく、あらゆる分野に「未来への新しい風」が吹き始めることを期待しており、その先頭で汗をかかしていただきたいと、考えているのでございます。
 当初予算の編成にあたりましては、今治市の今後の厳しい財政状況を踏まえております。
 大合併により、公の施設や職員数が、財政規模が類似の自治体と比較しても重たくのしかかり、これまでも、スリム化の期間に資する財源でもある合併特例債を活用しながら、この行政のスリム化に鋭意努力をしてきた訳でありますが、これはあくまでも一時的な措置であり、将来に向け、健全財政を確保、維持していくため、行政サービス、施設の休止・廃止などの抜本的な見直しは避けて通ることができません。
 一方で、コロナ感染の中で税収も不安定になり、人口減少や少子高齢化といった時代の潮流の中で、国あるいは県からの各種交付金、補助金も一層厳しさを増すのではないかと危惧をしており、新たな財源を探り、将来にわたる財政の健全化について、早期の目途をつけることが、私の仕事であると認識しておりまして、予算編成も「あれもこれも」という時代から「あれかこれか」という選択と集中をより強いられる時代になると考えております。

 それでは、まずはじめに、市民を守るという視点から最重要課題と考えております「新型コロナウイルス感染拡大防止策の更なる強化」の取組みについて申し上げます。
 舵取り役をお任せいただいた先月20日の就任から、直ちに市長としてコロナ対応など喫緊の課題への対応にあたって参りましたが、新型コロナウイルス感染症は、今も世界中で猛威を振るい、その終息は未だ見通せない状況であります。
 日夜、医療の最前線でご尽力をいただいている医療従事者の方々、福祉の現場をお支えいただいている方々をはじめ、感染拡大防止にご協力をいただいているすべての皆様に、改めて壇上から、心からの感謝を申し上げたいと思います。
 本市と致しましても、市民の命と暮らしを守るため、引き続き、国や愛媛県、今治市医師会等とも緊密に連携しながら、感染拡大防止に全力を尽くして参りますと共に、ワクチン接種につきましても、実施体制をしっかりと整え、迅速かつ円滑に実施できるよう準備を進めておりますので、どうかご安心をいただきたいと思います。
 さらに、私が公約としました、市民の皆さんにとりましての「365日駆け込み寺」とも言える総合相談センターの設置の第一弾としましては、コロナ相談窓口の設置を致します。
 また、関連するセーフティネット機能の強化におきましては、県立今治病院の建て替え促進を含めた医療提供体制の確保、充実といったことも、市民の命と健康、安全安心な暮らしを守っていくうえで、極めて重要な課題であり、これからの人口減少に対応した地域医療のあり方についても、「今治市の医療がどうあるべきなのか」、しっかりと市民の皆さんと対話を重ねながら、まずは地域で考えていかなければならない問題でもあると認識しております。

 さて、本日、私は、とても晴れ晴れとした気持ちで、この3月定例市議会に臨ませていただいております。
 このたびの市長選挙では、過去の延長線上にふるさとの未来はなく、時代の変容に対応できるよう、今治は変わらなければならない時を迎えている、そう訴えて参りました。
 また、初登庁以降は、出航前の船の中で、じっくりと見て、乗組員に指示を出し、天候や波の様子も見ながら、大きな航海に向けた準備をしている船長のような、そんな心境でもございました。
 そのような中、市役所職員の皆さんには、本当に短い期間で、私のふるさとにかける想いであるとか、あるいは大きな航海に出る不安を、理解をしていただきながら、公約の実現に向け、共に知恵を絞り、関係議案を準備していただきましたことに対し、厚く感謝申し上げます。

 コロナ禍によって社会が大きく変化している、まさに時代の転換点にあると、重ねて申し上げて参りました。
 市民の負託を受け、新たな時代を、将来を切り拓いていくために、今治を愛するすべての市民の皆さんに、私がお示しをさせていただいた3つの政策を柱に、これからの今治市のあり方を、市民と共に考え、着実に実現して参ります。
 ウィズコロナ、アフターコロナ時代を見据えた感染対策と地域経済再生の両立にも、全力で取り組んで参ります。
 地域経済をけん引する、地元企業の元気が、今治の活力の大きな源であり、市民の幸せな暮らしを守る礎でもありまして、本市と致しましても、ニーズを捉えた的確な支援策を、時宜を逸することなく講じていく必要があると考えております。
 企業の事業継続を支援すると同時に、社会の変化に対応し、域内の経済循環にもつながる新たな事業展開など、成長・発展に向けた取組を強力に推進して参りますので、市民の皆さん、事業者の皆さんにおかれましては、力を合わせて、この難局を乗り越えていこうではありませんかと、改めて、この壇上から呼びかけをさせていただきたいのであります。
 それでは、私が掲げた、「『市民がまん中』の視点で市民の役に立つ市役所へ」、「市民の命を守り『商いができる』今治の実現」、そして「『ひとりひとり』が輝く今治をみんなで創出」、この3つの政策の柱に沿って、ご説明申し上げたいと思います。

Ⅰ「市民がまん中」の視点で市民の役に立つ市役所へ

 1つ目の政策は、「市民がまん中の視点で市民の役に立つ市役所へ」についてであります。
 市民サービスの質を高め、市役所を市民満足度の高い超スマート自治体に体質変革を致します。
 中でも市民参加の市政運営は重要であり、市民の意見を聴取する仕組みづくりをするための条例の制定を検討したいと考えております。
 市民参加と、市民の知る権利を保障する情報公開は、民主主義の両輪でありますので、今後の情報公開の在り方につきましては、他の自治体の事例、法制上の動向も踏まえながら検討を始めたいと考えております。

1 聖域なき財政・市民負担の総点検で、財源捻出、財源確保

 取組の1つ目は、「聖域なき財政・市民負担の総点検で、財源捻出、財源確保」についてでございます。
 まず、公約を実現していくための体制づくりを始めます。
 市民の皆さんの声を反映しながら、一つ一つ、形にしていくために、戦略的に政策を考え、全体の設計図を描く担当課、そして、デジタル化推進の司令塔となる担当課を設置し、喫緊の課題への対応、重要施策を強力に推進すると共に、重要施策、懸案事項等に関しましては、「重要施策調整会議」を設置し、総合的かつ戦略的に検討・調整を行って参ります。
 公約に掲げた事業、今治の未来のため取り組まなければならない事業につきましては、速やかに調査・検討を進め、より具体的なビジョンやロードマップをお示ししながら、今後の議会において、順次、政策の実現に向けた予算などを上程致したいと考えております。
 私と一緒に、政策を実行していく職員の意識改革も重要でございます。意欲、能力ある職員、若手並びに女性職員を積極的に登用していくことに加え、既存組織での対応と併せて、必要に応じ、若手職員等からなる組織横断的なプロジェクトチームを立ち上げることにより、行政組織の活性化を促進します。
 また、活用案件のない市有財産は、積極的に民間等への売却、貸付を進めることで、収入の確保と資産の有効活用を図って参ります。
 特に、収入を増やす方法としては、ふるさと納税や企業版ふるさと納税のさらなる推進に加えて、クラウドファンディングの導入など多様な手法の検討を進め、財源を捻出したいと考えております。
 中でも、地域新電力会社も視野に入れたエネルギーの地産地消につきましては、他の先進自治体の事例、再生エネルギーの国の制度動向の調査などを実施しながら検討を進めたいと考えております。

2 賢い支出で市役所の行財政改革

 取組の2つ目は、「賢い支出で市役所の行財政改革」についてであります。
 人口減少時代を見据え、限りある財源を、真に必要な事業に重点的に配分していくためには、歳出も、ゼロベースから見直していかなければなりません。
 行政改革ビジョンを再点検し、持続可能な新しい今治の実現に向けて、職員数の適正化、財源の確保、そして超スマート自治体への転換など、さらなる行財政改革を推進します。
 財政面では、10年間の財政計画であります中長期財政収支見通しを毎年度、市民の皆さんにお示しし、ご意見も伺いながら、安定的で持続可能な財政運営に取り組んで参ります。
 定型的な事務作業を自動化できるRPAを導入し、職員配置や業務の効率化につなげていくと共に、クラウドサービスを使って簡易なシステムを内製化するなど、デジタルツールの活用によるコスト削減を積極的に推進して参ります。

3 ハコ物事業を含めた大規模事業を市民の目で再点検

 取組の3つ目は、「ハコ物事業を含めた大規模事業を市民の目で再点検」についてであります。
 大規模事業等の実施にあたっては、市のホームページ等で事業計画等をわかりやすくお示しし、市民の意見を聴く仕組みを構築していきます。
 施設管理においては、公の施設の利用状況、運営コストなどを毎年公表しておりますが、こうしたデータを管理運営の見直しに活かし、利便性の向上や無駄の削減につなげて参ります。

4 デジタル化の加速で市民サービスの向上、超スマート自治体へ体質変革

 取組の4つ目は、「デジタル化の加速で市民サービスの向上、超スマート自治体へ体質変革」についてであります。
 コロナ禍によって、私たちの日常は一変し、まさに国難とも言える状況に直面しています。その一方で、新たな日常、新たな時代へと舵を切る、大きな変革の契機にもなりました。
 その一つが、デジタル化の推進でございます。本市におきましても、しっかりと実施体制を整え、国の政策等も注視しながら、デジタル化を推進していくロードマップをお示ししたいと考えております。
 合併から16年が経過した今、地域の活力を維持しながら、暮らしやすいまちであり続けるために、将来を見据えてこれからの時代に合った支所と本庁を含めた組織の在り方を見直していかなければならない時期に来ています。
 地域のことは地域で決められる、即断即応な市役所の組織体制が求められており、特に、島しょ部においてはその必要性が高くなっております。
 総合事務所の設置による地域課題への機動的な対応が喫緊の課題であり、他の自治体の事例調査や市民の皆さんのご意見を伺いながら検討を行って参ります。
 365日いつでも市民からの相談に対応する窓口の設置につきましては、第一弾としてコロナ相談窓口を設置致しますが、総合相談窓口につきましても、検討を開始いたします。
 また、行政のデジタル化を推進していく中で、全庁的に、事務の簡素化、効率化を図って参ります。
 クラウドサービスなどを活用した、各種申請手続きのオンライン化に向けた取組と併せて、オンライン化を念頭に、押印の見直しを進めるとともに、本年4月からは、スマートフォンアプリを活用した、市税等のキャッシュレス納付の取扱いを開始致します。
 明後日でありますが、住民票の写し等のコンビニ交付を開始する一方、本年7月には、市役所本館1階行政コーナーにも、行政証明書交付端末を設置するなど、市民課窓口の混雑緩和による感染対策と、マイナンバーカードの普及促進を図って参ります。

5 公の施設等見直し

 取組の5つ目は、「公の施設等の見直し」についてであります。
 公の施設は、市民の財産であります。これから、どうやって有効活用していくのか、早期に新たなビジョンや方向性を整理したいと考えております。
 民間事業者等の参入を促進し、施設に様々な機能を持たせるなど、市民に親しまれる拠点施設として、再生を図って参ります。
 維持管理・運営の効率化や、採算性を高めていくことも重要であります。施設の魅力を高め、財政負担の少ない施設へと転換を図りながら、有効活用策を検討していくなど、人口減少時代も見据えた中で、市民のご理解をいただきながら、知恵を出し合い、未来志向で議論を深めて参ります。

Ⅱ 市民の命を守り「商いができる」今治の実現

 次に、2つ目の政策「市民の命を守り、商いができる今治の実現」への取組についてであります。
 『瀬戸内クロスポイント構想』は、私が選挙の中で市民の皆さんに提唱した構想でございます。
 明日の、未来の今治市の発展の道筋をつくることができる構想であり、瀬戸内のクロスポイント、いわゆる「へそ」とも言える十字路は、今治市の戦略的な優位性であることをベースに、資金、消費、投資の流出を流入に変え、地域で所得が循環することを目指す構想です。
 今治市を製造、物流、デジタル、観光の拠点にし、通過点から滞在地域に変貌させるウィズコロナ、アフターコロナの時代への挑戦です。この挑戦を具体化すべく準備に着手いたします。
 まずは、国の地域経済循環分析手法を活用し、今治における民間の投資状況や市外とのお金の流れに関する収支、さらには、産業分野別の規模や「稼ぐ力」などについてデータなどに基づく分析に取り組むと共に、先進自治体の調査研究を行いながらできるだけ早い時期に実現に向けた取組みを進めて参ります。
 特に、「稼ぐ力」の実現の第一歩として、強力にトップセールスを展開し、情報発信と販路開拓に全集中致します。

1 デジタル化の加速で今治の経済を「新しい成長」へ

 取組の1つ目は、「デジタル化の加速で今治の経済を、新しい成長へ」についてであります。
 デジタル化とトップセールスで、今治経済の「新しい成長」のステージを切り拓いて参ります。
 今治の「稼ぐ力」の実働部隊となる組織につきましては、地域版総合商社を構想しており、今後、鋭意検討を進めたいと考えております。
 私のトップセールスも含め、本市の魅力ある地場産品、農水産品などに光を当て、新たなステージで強力に販路拡大を展開していくために、具体的な検討を進めて参ります。
 頑張る企業の業態転換、デジタル化の推進等を応援し、コロナ時代の新しい日常への移行と、瀬戸内クロスポイント構想に掲げる、地域における所得の循環を促進します。
 農林水産業、商業、製造業の産業づくり、人づくりについても推進して参ります。
 農業振興では、新たな担い手の育成やオンラインなどの販路開拓を促進し、農産物鳥獣被害対策の強化にも取り組み、それらを含め、第1次産業の振興を市政の大きな柱にしたいと考えております。
 造船業における中韓との国際競争の激化、また感染拡大の影響を受け、厳しい状況にある海事産業の競争力の復活は、海事都市・今治にとりまして、非常に重要な問題でございます。
 昨年12月に設立されました「海事産業の未来を共創する全国市区町村長の会」の活動を継続し、造船立地自治体との横の拡がりであったり、国や国会議員の方々との連携も強化・深化しながら、本市が大きなエンジンとなって、海事産業への国の支援の実現に向け、共に声を上げていきたいと考えております。
 本年5月には、バリシップ2021の開催が予定されております。海事産業を支える人材の育成についても、しっかりと支援をして参ります。
 今治タオルもまた、コロナ禍の影響で苦戦を強いられています。将来にわたって、業界の継続的な成長・発展を担う人材の確保・育成、産地の強化が重要であり、企業がそれぞれの個性や強みをもっと発揮できるよう、新しいステージでの販路拡大などをバックアップして参りたいと考えております。
 若者を対象とした創業・起業支援施設の整備に向けては、サテライトオフィス、シェアオフィスなど、コワークスペースの環境整備を促進し、今治で何かを始めたい人を応援します。
 地方への人の流れを創出し、地域の活性化にもつなげていかなければなりません。
 若者の地元定着を促進するために、地元就職、Uターン就職等の支援を強化していくと同時に、若者の活躍の場となる地元企業の魅力向上、人材確保の取組支援なども検討して参ります。

2 島と海と陸をつなぐ魅力ある“まちづくり”、“産業づくり”、“人づくり”の推進

 取組の2つ目は、「島と海と陸をつなぐ魅力あるまちづくり、産業づくり、人づくりの推進」についてであります。
 長年の懸案であるのが、しまなみ海道の通行料金の問題です。通行料金の負担が島民の生活コストに大きくのしかかり、今、島に住む選択肢を選ぶことができなくなりつつあります。
 合併後、島しょ部のほとんどの地域では、合併時より人口が大幅に減少しており、少子高齢化の激流の中にあります。早期に無料化できればいいのでしょうが、まだまだ時間のかかる、大変困難な問題であります。
 しかし、今回の選挙において、島しょ部の多くの皆さんからしまなみ海道が唯一の生活道であることや、病院への通院、高校への進学、買い物などにかかる橋の通行料金が相当額になり、生活費に占める割合が大きく、島民がその負担に耐えられない、という声が上がりました。
 私は、今治で育てていただいた政治家です。見過ごすことはできません。国や県との関係もあり、時間のかかる問題ではありますが、まずはオール今治で取り組むべき政治課題であると認識しています。
 財源等の課題もありますが、どこからかでも早期に取り組まなければならない課題であります。当面、実質無料化という目標に向け、できるところから負担の軽減を検討したいと考えております。
 大学等を核としたまちづくりにつきましては、岡山理科大学今治キャンパスの開設から4年目を迎えます。
 人口減少の抑制のみならず、積極的に地域に溶け込み、様々な地域貢献活動にも取り組んでくれている学生たちの姿は、まちに変化をもたらし、活力を生む大きな原動力にもなっています。
 大学が一層、この地に根差していく中で、大学立地が地域発展の起爆剤になるように誘致効果を最大限に引き出せるまちづくりへの道は何かを、大学の皆さん方と共に考え、知恵を出し合い、さらに大きな地域の経済循環につなげて参ります。
 国家戦略特区の新たな取組みとしましては、近未来技術実証に関するワンストップセンターの開設に向け、準備を進める一方で、自動運転やドローン等の実証実験を促進し、本市の地域課題の解決にも活かして参りたいと考えております。
 間もなく今シーズンの開幕を迎え、J2昇格を誓うFC今治でありますが、クラブと連携したスポーツのまちづくりを推進するとともに、東京オリンピック・パラリンピックを契機としたスポーツの振興にも取り組んで参ります。

3 人が集まる、人が集う、文化と歴史が咲く、“i.i.imabari”のパワーアップ

 取組の3つ目は、「人が集まる、人が集う、文化と歴史が咲く、“i.i.imabari”のパワーアップ」についてであります。
 人、文化、歴史を大切にした今治のパワーアップを実現します。中心市街地の再開発のための先導的な取り組みとして、今治マルシェ、いわゆる定期の朝市でございますが、こうしたものの開催を視野に、生活、交通、仕事の拠点としての再生の検討を開始したいと考えております。
 しまなみ沿線など、地域の魅力を活かしたワーケーションの受け入れを推進していく一方で、移住・定住を促進する取組みを大幅に拡充致しますと共に、これに併せて、現在、島しょ部で実施している空き家バンク事業の実施区域を市内全域に拡大し、取組みを進めて参ります。
 また、新たに、地域おこし企業人制度を活用し、プロモーションと地域の魅力再発見の取組みを強化致します。
 コロナ禍で、今までのようなインバウンドの受入れが難しい状況が続きます。マイクロツーリズム、いわゆる近場の観光に注目が集まっています。
 今治は、実に多彩な地域資源、魅力ある観光資源の宝庫であり、非常にポテンシャルが高いところだと、私は常々認識しており、今後これらを活かす方法を検討したいと考えております。
 それぞれの地域が有する資源を、今までと違った視点でブラッシュアップして、うまく組み合わせることで、人が集まる、人が集う、地域の魅力を再発見するマイクロツーリズムに仕上げることができると思っております。
 こうした資源を点から線へとつなぎ、その線をたどって、人々がまちの隅々まで回遊する、今治ならではのマイクロツーリズムを推進して参ります。
 自転車のまちづくりにつきましても、国や県等とも連携しながら、サイクリストの受入環境の整備などを推進し、サイクルシティ今治をパワーアップして参ります。

Ⅲ「ひとりひとり」が輝く今治をみんなで創出

 そして3つ目の政策は、「ひとりひとりが輝く今治をみんなで創出」への取組についてであります。

1 女性が輝く、子供が輝くやさしいまち“今治”

 取組の1つ目は、「女性が輝く、子供が輝くやさしいまち今治」についてであります。
 「市民がまん中」の視点で、出産や子育て支援、女性の活躍支援を推進します。
 本市の人口動態を見ますと、若年層や子育て世代の女性人口が流出している状況にあり、非常に強い危機感を覚えています。
 今治市がこれから先も、持続可能な活力あるまちであり続けるために、若い世代に、女性に選ばれるまちへと、生まれ変わっていかなければなりません。
 「誰も悲しませない」「誰も一人にしない」、選挙戦を通じて訴えてきた私の政治姿勢の原点であります。
 まずは、子育て中のお父さん、お母さん、妊娠中の女性たちの声を、子育て支援の充実に活かしていくための意見交換の場を作ります。
 そしてこれを発展させる形で、今治版ネウボラ「未来子育て支援機構」の立ち上げに向け、検討を進めていきたいと考えております。
 結婚・妊娠・出産から育児まで、切れ目のない支援の充実を図り、産後ケア事業の拡充など、女性や子育て世帯のニーズに寄り添った、きめ細やかな支援策を検討して参ります。
 本年1月から開始した、島しょ部にお住まいの妊婦さんと乳児の健診受診を促進する交通費助成につきましては、選挙で私に寄せられた民意に照らし、あるべき姿を求めて、一から再検討し、6月議会に新たな姿でご提案できるよう、検討を進めます。
 小児科の日曜・祝日急患診療の当番医体制を確保するため、医師会への医師の派遣を拡充し、医療提供体制をしっかりと維持していきます。
 小中学校においては、電子黒板の整備計画を前倒しし、令和3年度で整備を終えるとともに、学習支援ドリルソフトの導入やICT支援員の配置など、ICTを活用した学習環境の充実を図って参ります。
 島しょ部の教育環境をしっかりと守っていくため、島外から島しょ部の高校に通学・下宿する生徒への支援を、継続して実施していきます。
 本市の学校給食における地産地消の取組みは、子どもたちの食育にも大きな成果を上げて参りました。次は、日本一おいしい、自慢の給食を目指して参ります。

2「健康・長寿」と障がい者にやさしいまちづくり

 取組の2つ目は、「健康・長寿と障がい者にやさしいまちづくり」についてであります。
 健康マイレージ事業(健康づくり応援ポイント事業)の充実を図り、市民の健康・長寿を促進していくとともに、シニア世代の皆さんの地域や職場でのさらなる活躍を応援します。
 令和3年度には、特定健診のWeb予約ができるようになります。積極的な受診を呼びかけ、受診率の向上と健康増進につなげてまいります。
 高齢者支援の充実に向けては、第8期高齢者福祉計画・介護保険事業計画に基づき、地域包括支援センターの人員を増員するなど機能強化を図るとともに、フレイル予防の推進など、介護予防と健康づくりに力を入れて取組を進めて参ります。
 障がいのある仲間たちが地域で安心して暮らせるまちづくりに向けましても、一人ひとりに応じた社会参加の促進、発達支援や重度心身障がい児への支援体制の充実などに取り組み、地域共生社会の実現を目指します。

3 防災・減災対策で災害に強いまち“今治”

 取組の3つ目は、「防災・減災対策で災害に強いまち今治」についてであります。
 感染症と豪雨災害、地震など、複合災害への対応が必要な状況です。
 すでに、感染症予防に対応した避難所の運営体制を整えておりますが、さらなる対策を講じるため、資機材を拡充し、公民館のトイレの洋式化などを実施して参ります。
 緊急時に必要な情報を、市民の皆さんにお届けするため、総合版防災マップを作成し、各戸に配布したいと考えております。
 同報系防災行政無線の難聴対策を検討するための電波調査を実施するほか、市民の皆様の要望の多かった防災ラジオにつきましては、普及のスピードアップに取り組む所存でございます。
 道路橋りょう、港湾施設等の老朽化対策、治水施設等の防災インフラの整備につきましても、順次、計画的に進めて参ります。
 以上、私の市政運営の基本方針と、重点施策の概要について申し上げました。

 令和3年度予算につきましては、骨格予算を基本に、感染症対策など喫緊の課題への対応と、地域経済の維持、そして復活へと、これらの両立を図りながら、ウィズコロナ、アフターコロナの両方を見据えた、新たな時代、新しい成長を目指す予算編成を行ったところでございます。

 予算規模といたしましては、一般会計741億7,000万円、特別会計は約413億8,000万円、そして企業会計の約212億6,000万円を合わせまして、全会計の予算額は、約1,368億1,000万円となった次第でございます。

 終わりに、一言申し上げます。
 私が選挙を通じて市民の皆さんに問うた最大の争点は、「市民がまん中」という理念、「瀬戸内クロスポイント構想」「地域経済循環」の考え方であります。
 この理念と考え方が、人口減少、少子高齢化を食い止め、今治市が、これからも、そして未来も、「持続可能な経済循環するまち」として発展し続け、市民の皆さんに幸せをもたらすことを約束できる唯一の道であると、信じています。
 コロナの時代、市民の不安を一つ一つ取り除き、様々な分野で新しいスタイルを、今治市の明日と未来の姿を、停滞か、それとも前進かを、市民と一緒に決める、選択をしていく、今日がその一歩だと思っております。
 進むべき方向をしっかりと見定め、道を切り拓いていく過程には、厳しい場面も多々あろうと存じます。市民の皆様との共感を大切にしながら、議論を重ね、全力で取り組む覚悟でありますので、議員各位並びに市民の皆様におかれましては、格別のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、提案いたしております案件の詳細につきましては、後ほど副市長からご説明申し上げますので、ご審議のほどよろしくお願い申し上げまして、少し長くなりましたけども、開会のご挨拶とさせていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いをいたします。 

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