令和4年度 施政方針

 本日、第2回定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれては、ご参集をいただき誠にありがとうございます。

 まず初めに、去る2月21日にご逝去されました、故越智一博教育委員に謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈り申し上げますと共に、市民を代表し、ご遺族の皆様に衷心よりお悔やみを申し上げます。越智委員の御遺志を受け継ぎ、子どもが真ん中の今治ならではの教育大綱の実現に、しっかりと取り組んでまいります。

 さて、昨年2月20日に、私が今治市長に就任をさせていただいてから、1年が経ちました。この間、市民の命を守る新型コロナウイルスへの対応に最優先で取り組んでまいりましたが、目に見えない敵との戦いは、今なお続いています。
 日々、最前線で市民の安心・安全をお支えいただいている、今治市医師会をはじめ、医療従事者の方々、エッセンシャルワーカーの皆さんの献身的なご尽力と、感染予防対策にご協力いただいている全ての皆さんに、改めて感謝を申し上げます。
 オミクロン株の急拡大によって、国内でも爆発的に感染者が増加し、本市におきましても、非常に高い水準で陽性確認が続いております。小中学校や保育所などでも、できる限りの対策は講じてはいるものの、いまだその収束は見通せない状況でございます。
 より感染力の強い、新たな変異株の脅威がすでに拡がりつつあるとも言われ、危機感を持って注視いたしておりますが、また一方では、ワクチン接種の効果や治療薬の開発等に伴って、ウィルスと共存しながら暮らしや経済活動を継続させていく、社会はすでに、そうした段階、ニューノーマルの時代に進んでもございます。
 感染防止対策をしっかりと継続しながら、ウィズコロナの明るい未来に向けて力強く舵を切り、市民一丸となって、この荒波を乗り越えてまいりたいと強く願うものであります。

 一年前、私は公約で、市民の皆様に今治の未来への大まかな設計図をお示しさせていただきました。時代はさらに進化を続けています。司令塔を担う市長として、その設計図を常に最新のものに更新し、これから今治市が進むべき方向をより一層明らかなものとしながら、市民の皆さんと共に選択し、新たな道を切り拓いていくために、先頭に立ち、これまで以上に不退転の覚悟で臨んでまいる所存でございます。

 行政組織につきましても、市民が真ん中の政策展開に向けて体制を整備いたしますと共に、さらに新しい風を起こしていくため、部局を再編し、各部局に政策局を設けるなど、政策調整機能を高めると同時に、機動力や横の連携の強化も図ったところでございます。
 この一年、市役所の中でも様々な変革に取り組んでまいりました。その中で、私がどの改革にも共通して力点を置きましたのは、職員の意識改革と人財育成の視点でございました。
 一番は市民の幸せのために、そして職員自身の成長のために、今までのやり方を当たり前だと思わず、もっと良くしていくためにはどうすればよいか、常に問いかけ、様々な業務を見直し、縦割り行政の解消と組織力の強化を目指してまいりました。
 徐々にではありますが、新しい風を感じてもおります。昨年立ち上げました、17の庁内プロジェクトチームの活動なども、その成果の一つでございますが、令和4年度もこうした取組を進化させ、さらに実りあるものへと発展させてまいります。

 また令和4年度当初予算の編成にあたりましては、私の初めての本格的な政策予算となりますことから、聖域なき総点検を行い、賢い支出を念頭に可能な限り工夫をいたしました。市民が真ん中の理念に基づいた、これまでとは一線を画した予算を皆様方にお示しできたのではないかと考えてございます。
 さらに現下の最重要課題であります新型コロナウイルス感染症への対応と、ウィズコロナ対策、地域経済の再生をはじめとする諸課題に対応していくため、積極的に新規施策を盛り込んだところでもございます。
 市長就任にあたり、私は、市民が選んだ今治の明日、未来の姿を必ずや実現すると市民の皆様にお誓いを申し上げました。民意に応えられる新しい市政のもと、あらゆる分野に未来への新しい風を吹かせ、市民と共に今治の明日を創り上げていくために、そしてその新しい風を、目に見える、強く確かなものへと成長・発展させていくために、令和4年度に今治市が取り組んでまいります諸施策につきまして、7つの政策の柱に沿って、ご説明申し上げたいと存じます。

Ⅰ 新型コロナウイルス感染症対策の強化

 まず第1の柱は、「新型コロナウイルス感染症対策の強化」についてでございます。
 対象となる市民への新型コロナウイルスワクチン接種を着実に進め、感染拡大防止と重症化予防を図ってまいりますと共に、福祉施設の入所者及び職員、また文化・スポーツ活動にかかるPCR検査費用への助成を一部拡充し、市民生活や社会経済活動の継続を支援してまいります。
 日々刻々と変わる感染状況を的確に見極めながら、機動的に必要な対策を打ってまいりたい。コロナ禍のような緊急事態にあっても、安定的に地域の医療提供体制を維持していくためには、エッセンシャルワーカー、看護人材の育成・確保も重要な課題でございます。医師会による、看護人材の発掘から養成、市内への定着促進、さらには潜在看護師の復職支援まで、総合的な取組を支援してまいります。
 また、生活困窮者の就労準備支援など、自立を後押しする体制を強化いたしますと共に、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の支給を継続し、セーフティネット機能の強化を図ってまいります。

 コロナ禍で生活様式や社会構造が変化し、大きなパラダイムシフトが起こっています。こうした社会変容に対応しながら、経済と雇用を維持し、さらに発展させていくため、ウィズコロナに軸足を置いた事業基盤の転換にも、力を注いでまいります。
 企業の競争力強化に向け、脱炭素やDXへの対応、或いはSDGsの取組を通じ課題解決を図る、そうした企業の設備投資などを促進すると共に、長引くコロナ禍で、苦境に立たされている宿泊業界の魅力向上と集客の回復を後押しするため、今治タオルを客室等に導入する宿泊事業者を支援してまいります。本市を訪れ、お泊りいただく方々へのおもてなしを通して、今治の魅力を高め、今治タオルの新たな需要喚起にも繋げてまいります。

Ⅱ 「市民が真ん中」のまちづくり

 第2の柱は、「市民が真ん中のまちづくり」でございます。
 昨年8月、市民が真ん中相談センターを開設いたしました。365日ワンストップで対応する駆け込み寺として、多くの市民の皆さんにご利用いただいてございます。令和4年度は、法律や福祉など専門分野の相談体制の充実を図ってまいりますと共に、介護や子育てなどで来庁いただくことが難しい方のご相談にも、オンラインで対応するなど、市民一人ひとりに寄り添う相談センターとして機能強化を図ってまいります。

 次に、それぞれの地域が活力を維持しながら、地域のことは地域で決める体制づくりにつきましては、住民の皆さんの声をお聴きしながら、この一年間、検討を重ねてまいりました。
 本年4月から、島しょ部3島5町の支所を統括するしまなみ振興局と、陸地部、関前支所を統括する地域振興局が地域全体を俯瞰しながら、支所地域の住民サービスの充実と、地域のストロングポイントを活かした魅力ある活性化策を推進していく中で、地域における担い手の育成、特産品開発や販路開拓などのほか、起業や事業創出の支援にも取り組んでまいります。
 また、これまで、それぞれの地域から多くのご要望をいただいておりました、農道・市道の維持修繕費を振興局予算として配当し、迅速できめ細かな対応を行ってまいりたい。
 令和4年度予算の重点対応枠として、農道・市道の維持修繕費を1億2,000万円確保いたしまして、旧市、陸地部、島しょ部にそれぞれ農道2,000万円、市道2,000万円の4,000万円ずつ、二つの振興局を合わせて8,000万円を割り当てる計画といたしております。
 なお、しまなみ振興局を置く伯方地区の庁舎、公民館のあり方につきましては、今一度、必要となる機能や規模、ライフサイクルコストなどを総合的に勘案したうえで、整備を進めてまいりますと共に、現在の伯方支所等の跡地利用につきましても、先般、地元自治会の皆様から「民間主導で賑わいの拠点を整備したい」とのご提案をいただきましたことから、今後、しっかりと連携を図ってまいります。

 時流である、SDGsの取組を本格始動いたします。去る2月2日、今治市はSDGs日本モデル宣言に賛同いたしました。人口減少・超高齢化など社会的課題の解決と持続可能な地域づくりに向けて、自治体同士や官民の連携を深め、企業版ふるさと納税の活用も図りながら、経済、社会、環境の3つの側面が調和した、市民が真ん中のSDGsを推進してまいります。
 その方策の一つとして、道路照明灯のLED化に取り組んでまいります。令和4年度中に全灯LED化を実現し、10年間の維持管理を合わせ、民間事業者の力を活用するものであり、LED化で削減できる電気料金等の範囲内で経費を賄うだけでなく、将来的な維持管理の負担を軽減し、CO2排出量の削減にもつながる取組でございます。
 さらに、ごみ処理の過程で発生するバリクリーンの余剰電力の一部を、バリウォーターや下水浄化センターなどの公共施設に供給し、エネルギーの地産地消を推進すると共に、再生可能エネルギーを活用した持続可能な地域づくりに向け、その具体化を図ってまいります。

 また、懸案でございます本庁舎等の老朽化への対応を進めていくため、庁舎整備基金を設置いたしまして、令和4年度は、財政調整基金から10億円を積み替えて原資といたします。今後、計画的に残高を確保しながら、将来を見据え、人口減少やデジタル化にも対応した庁舎整備の方向性を取りまとめてまいります。

Ⅲ デジタル化の加速・スマートシティ今治の推進

 次に第3の柱は、「デジタル化の加速・スマートシティ今治の推進」でございます。
 ICTやデジタル技術を活用し、行政事務を徹底的に効率化した「超スマート自治体への体質変革」を図ってまいりますと共に、より一層、住民の利便性など行政サービスの質を高め、市民が真ん中のDXに挑戦いたします。
 10年後の姿を見据え、今治デジタル未来戦略の策定を進めますと共に、今治新都市に間もなく完成するBEMAC株式会社の社員寮「驀進ベース」のスマートオフィスを活用し、新しい働き方のモデルを構築しながら、多種多様な主体と関わることにより、デジタル人材の育成と官民共創連携の拠点づくりを進めてまいります。
 行政事務のデジタル化に向けましては、電子決裁を含む文書管理システムを導入するほか、今年度に実証を行っております電子契約システムの本格運用を開始いたします。

 次世代を担う子どもたちのために、今年度に引き続き、保育や学びの環境を整えてまいります。保育所、認定こども園には、ICTを活用した業務システムを導入し、保育士が子どもと向き合う時間を増やすことで保育の質を高め、保護者の利便性向上にもつなげてまいります。
 小中学校には、特別支援学級と音楽室にも電子黒板を設置いたします。また昨年、朝倉小学校で実証を行いました、人型ロボット「Pepper」を活用したプログラミング教育を全校で展開いたしますと共に、1人1台端末とデジタル教材を活用した、今治モデルのふるさとキャリア教育も推進をしてまいります。

 さらに、国家戦略特区の新たな展開を目指し、近未来技術実証ワンストップセンターの機能強化を図る中で、今治市をフィールドに、地域課題解決のための規制緩和を目指す提案を募集するほか、農業分野におけるドローンの活用に向けたフォーラムの開催などを通じ、広く全国に本市の取組を発信してまいります。

Ⅳ 瀬戸内クロスポイント構想の実現(経済の新しい成長とi.i.imabariのパワーアップ)

 第4の柱は、「瀬戸内クロスポイント構想の実現(経済の新しい成長とi.i.imabariのパワーアップ)」でございます。
 瀬戸内の「へそ」ともいえる本市の地理的な優位性を武器といたしまして、資金、消費、投資の流出を流入に変え、地域で所得を循環させる瀬戸内クロスポイント構想の実現に向け、邁進してまいります。
 都市は消費するまち、地方は生産と物流のまちでございます。生産と物流を握っていることが地方の強み、今治の強みであり、その強みを最大限に活かしながら、様々な分野で競争できる、稼ぐまち今治を目指し、今治産品の販路拡大と地域経済循環を牽引する、今治版地域総合商社「(仮称)今治あきない商社」の設立に向け、具体的な検討を進めてまいります。

 本市のマスターブランドであるアイアイ今治のリブランディングと、さらなる推進に向けての取組では、今治の魅力あるコンテンツをまるごと発信する首都圏PRイベントのほか、職員のプロジェクトチームから生まれたアイデアの事業化、今治産の素材を用いた商品開発などに取り組んでまいります。
 市民の皆さんと一緒に今治を感じ、考え、創り、今治の魅力を何百倍にも育てていきながら、こうした取組から生まれた幾つもの種が日本中で芽を出し、大きく枝を広げていくように、関係人口を増やし、さらには移住・定住へとつなげてまいります。
 本年は、宝島社の「住みたい田舎ベストランキング」2部門で第1位、さらには1部門で第2位を獲得するという大変嬉しいニュースから始まりました。昨年1年間の本市への移住者数は1,597人、実に前年比1.7倍の伸びでございました。
 一層注目が集まる、本市への移住・定住の流れをさらに加速させていくため、ターゲットを絞った広報戦略を展開すると同時に、しまなみ振興局などに移住コーディネーターを配置いたしまして、お試し移住のサポートなど、きめ細かな推進体制を構築してまいります。

 観光や交流の促進に向けては、コロナ禍で、関東・関西方面からの修学旅行が増加している状況を好機と捉え、修学旅行の誘致と独自のおもてなしに取り組む事業者を支援するほか、民間の取組とも連携した今治型ワーケーションパッケージの構築にも取り組んでまいります。

 そして本年、今治港が開港100周年を迎えました。大正11年2月に四国で最初の開港場に指定された今治港と、海や港と共に発展を遂げてきた海事都市今治を広く発信するため、この秋、様々な記念事業を計画いたしております。
 港周辺エリアの新たな交流の拠点として、(仮称)はーばりーマルシェの開催も準備されております。港町として栄えてきた今治の賑わいを、もう一度港からリスタートさせ、市民の皆さんと一緒に育てていく日本一のマーケットになればと願っているところでございます。
 さらに、はーばりー周辺では、創立120周年を迎える今治商工会議所の記念事業として、自転車ロードレース「今治クリテリウム2022」が開催されるほか、4年ぶりの開催となります「サイクリングしまなみ2022」でも、広小路にフィニッシュ地点を設け、サイクリストの聖地・今治を強力に発信すると同時に、中心市街地への人の回遊を図り、さらなる賑わいと交流を促進してまいります。

 一方、産業振興でございますが、海事産業におきましては、海運市場の回復等により建造需要は徐々に戻りつつあるものの、中韓との国際競争や人材確保の問題など、依然として構造的な課題が横たわっております。本市といたしましても、地元海事関連企業や志を同じくする全国の自治体と共に、税制延長や法整備など幅広い国の支援獲得に向け、引き続き働きかけを行ってまいります。

 情報サービス業などの企業をターゲットに、新たなビジネスと人の流れを呼び込むと共に、新規創業者への支援制度を創設し、地域経済の活性化と雇用創出を図ります。DXをツールとした中小企業の課題解決の支援にも取り組んでまいります。

 農林水産業の振興に向けましては、今後の地域活性化の切り札の一つとして位置付け、取組を具体化させてまいります。
 企業等の農業参入を促進し、担い手の確保と経営基盤の安定化を図ると同時に、多種多彩で高品質な、魅力ある今治産農産物の競争力を高め、都市部のマーケットなどに積極的に売り出してまいりますほか、JALの航空便で朝獲れ鮮魚を配送し、当日中に調理・提供される実証事業に併せて、大阪で今治マルシェを開催し、トップセールスによる今治産水産物の販路拡大にも取り組んでまいります。
 年々実績を大きく伸ばしているふるさと納税の返礼品などでも、加工品を含め今治産農水産物は大変ご好評をいただいております。生産者の方々とさらに連携を深め、隠れた地域資源の発掘にも取り組みながら、稼げる農業、水産業の確立を目指すと共に、持続可能な森林環境も創ってまいりたいと思ってございます。

Ⅴ 島と海と陸をつなぐ魅力あるまちづくり

 第5の柱は、「島と海と陸をつなぐ魅力あるまちづくり」でございます。
 持続可能な都市経営を見据え、市民が真ん中課に「魅力都市創生室」を設置し、本格的な中心市街地の再生に着手いたします。
 これから10年、20年先の今治市の姿を描きつつ、ネウボラ推進の中核施設や老朽化の進む市役所本庁舎の整備、地域公共交通との連携などを含めた中心市街地のあり方について、コンパクト・プラス・ネットワーク形成の基礎調査を実施いたします。大変難しい課題でありますが、変化の激しい時代であるからこそ、気概を持って未来の進むべき方向性を指し示したいと考えてございます。

 生活道としてのしまなみ海道通行料実質無料化に向けた次の展開として、交通動向分析調査を行いますと共に、昨年事業化いたしました、島しょ部にお住まいの方々の妊娠、出産、子育てを支援する、しまなみの子どもを育む交通費助成をさらに拡充し、高校生以下の子どもがいる世帯に対し、交通費の一部を支援してまいります。
 昨年、3島でタウンミーティングなどを開催し、早期の負担軽減を望む住民の皆様の切実な声に耳を傾け、また様々なご意見も頂戴いたしました。ハードルが高い課題であることは十分認識しておりますが、現在の料金水準が引き上げられる可能性もある、令和6年問題への対応をまずは最重要課題として念頭に置きながら、知恵を巡らせ、粘り強く取り組んでまいります。
 また、主要道路の快適化を図るため、令和6年度までの3か年重点対策として、老朽化した舗装の緊急整備を実施いたします。
 安全で快適な自転車通行空間の整備に向けては、しまなみ海道を利用するサイクリストが、糸山から市内中心部までの間を快適にアクセスできるよう、市道北宝来近見線に、自転車専用通行帯を整備してまいります。
 文化・スポーツのまちづくりに向けましては、村上海賊ミュージアムをはじめとするしまなみ海道沿線の7館を巡るアートミュージアムオンラインツアーとVR体験コンテンツなどを制作し、魅力発信を図ってまいりますと共に、スポーツ合宿の誘致にも取り組んでまいります。
 今季のJ2昇格を誓うFC今治は、来年1月の完成を目指し、里山スタジアムプロジェクトを加速させております。本市といたしましても、FC今治の取組を全力で応援してまいりますと共に、さらに連携を深めながら、市民と共に創る、スポーツのまちづくりを推進してまいります。

Ⅵ ひとりひとりが輝く今治の創出

 次の第6の柱は、「ひとりひとりが輝く今治の創出」でございます。
 今治版ネウボラの推進に向けまして、引き続き、こどもが真ん中親会議などを通じ子育て世帯の声をお聴きし、事業推進に活かしてまいりますと共に、産後間もないお母さんと赤ちゃんの交流の場を設けるなど、育児の不安を解消し、安心して子育てができる環境を整えてまいります。メディアを活用し、本市の子育て支援の取組や、ネウボラ計画の進捗なども積極的に情報発信をしてまいります。
 また新たに、子ども家庭総合支援拠点を設置いたしまして、虐待防止やひとり親支援などのほか、近年社会問題となってございます、ヤングケアラーへの支援などにも取り組んでまいります。
 子育て世帯に家族で楽しんでいただける、こどもが真ん中フェスタを開催いたしますほか、子どもの居場所づくり事業といたしまして、地域で子ども食堂の開設・運営と学習支援を一体的に実施する団体への支援なども行ってまいります。

 学びの充実・教育大綱の推進に向けましては、学校運営協議会、いわゆるコミュニティスクールによる地域ぐるみの健全育成活動を推進してまいりますと共に、特別支援学級に配置する学校生活支援員を令和6年度までの3か年で倍増し、障がいのある児童生徒が安心して学べる体制を整えてまいります。

 島しょ部の分校の存続と地域活性化に向けましては、募集停止の危機を乗り越えるため、昨年9月に島しょ部高校魅力創造事業費を補正計上させていただき、地域、学校、行政が一丸となって分校の魅力創造に取り組んでまいりました。結果、両分校ともに存続に必要な志願者数を確保し、希望の光が見えてまいりました。引き続き、両校の取組を支援いたしますと共に、県教育委員会ともしっかりと連携をしながら、持続可能な学校運営のあり方についても検討を進めてまいります。

 そして小中学校の教育環境の整備・充実については、特別教室へのエアコン設置やバリアフリー化などを進めるための実施設計に着手いたします。いずれも令和5年度から6年度にかけて工事を予定してございます。

 日本一おいしい給食事業におきましては、地元料理人の方々をはじめ、より多くの方に関わっていただきながら、市民参加の試食会を開催するなど、取組をさらに発展させてまいります。

 障がい者にやさしいまちづくりにつきましても、障がいのある方やそのご家族の声にお応えし、きめ細かな拡充策を講じたところでございます。
 今治市独自に、人工呼吸器の非常用電源装置を日常生活用具の給付対象といたしますほか、介助用自動車の購入等の助成や安否確認サービスの導入、また台風等でしまなみ海道などの通行止めが予想される場合に、透析を受けるため事前に橋を渡って宿泊施設を利用する際の宿泊費の助成、さらには長年ご要望をいただいておりました、医療的ケア児等とその家族を支援する、レスパイトサービスの拡充を図ってございます。

 このほか、新たに若年がん患者の在宅療養への支援、医療用ウィッグ等の購入助成なども制度化を図ったところでありまして、誰もが安心して地域で生活ができる態勢づくりに今後も心を配ってまいります。

Ⅶ 防災・減災対策で災害に強いまちづくり

 第7の柱は、「防災・減災対策で災害に強いまちづくり」でございます。
 昨年7月に熱海市で発生しました、盛土に起因する土石流災害を教訓として、市内41か所の大規模盛土造成地の安全性を把握する、第二次スクリーニング調査に向けた計画策定を行うほか、市有施設の外壁等の全面打診調査を、令和6年度までの3か年で実施いたします。
 また、土砂警戒区域等に居住する要配慮者が宿泊施設に避難する際の助成制度を新たに創設いたしますと共に、同報系防災行政無線の電波障害対策にもしっかりと取り組んでまいります。

 平成30年7月豪雨災害では大規模な土砂崩れが発生し、お二人の尊い命が失われました。毎年のように全国各地で発生する、大規模化・頻発化する自然災害等に備え、災害発生現場の情報収集や人命救助等に有効な消防ドローンを配備いたしまして、消防力の強化を図ってまいります。

 このほか、道路改良、治水施設・港湾施設等の整備など社会資本整備にかかる事業費を計上したところでございます。
 道路橋りょう、港湾施設等の老朽化対策、治水施設等の防災インフラの整備につきましても、順次、計画的に進めてまいりますほか、重要港湾である今治港の整備に向けては、開港100周年を契機に、将来の姿をしっかりと見据えながら、社会環境の変化に対応した、次の100年に向けた長期構想の策定にかかる検討を行ってまいります。
 公園整備につきましても、遊具等の日常の安全管理はもとより、計画的に長寿命化や更新を進めながら、魅力ある公園づくりに取り組むことといたしております。

 最新の知見と技術の粋を融合いたしましたバリウォ-タ-につきましては、昨日、滞りなく通水したところでございますが、これからも安全で美味しい水を供給し、災害に強く環境にやさしい施設として、市民の皆さんに愛される浄水場を目指して運営をしてまいります。

 

 以上が、私の市政運営の基本方針と、重点施策の概要でございます。
 令和4年度当初予算の規模といたしまして、一般会計747億2,000万円、特別会計は約426億1,000万円、そして企業会計の約172億6,000万円を合わせまして、全会計の予算額は、約1,345億9,000万円となった次第でございます。

 終わりに、私自身の率直な思いを披瀝させていただきます。
 県議会議員として18年、ふるさとを座標軸に地方の持続的繁栄という坂の上の雲を追い求め、活動してまいりました。とりわけ印象的な出来事の一つに、12の家族が一つとなった平成の大家族、今治家の誕生があります。
 合併前のコンパクトなエリアの家族には、それぞれに行き届いたサービスがあり、地域の絆という糸が縦横に織りなすコミュニティがそこにはありました。しかし、本格的な人口減少時代の到来を目前に、また国策の「帰らざる河」であった時流を背に、それぞれの家族は不安を抱えながらも地域のさらなる将来を夢に託し、今治家は誕生したのです。しかし、人口減少の流れには抗えず、地域の活力低下を憂う声は、私のもとにも数多く届いておりました。

 今治市長となった今も、様々な課題が山積していることに変わりはございません。それどころか、課題は複雑多様化しています。合併による広域化、また、多極化する住民ニーズにどう対応するかという難題の打開策として立ち上げますのが、今回提案している組織改正であり、予算でございます。
 世界的パンデミックの発生などにより、過去の延長線上での価値観や成功体験が全く通用しない混迷の時代に入った今だからこそ、市政に携わるすべての皆さんが「誰のため、何のため」にという原点に立ち戻る必要があるのではないかと感じております。
 またかつて、みずからの身をなげうってまで平成の大合併にご尽力いただいた先輩方から、祈りを込めたバトンを託された私どもは、地域をより豊かにしていくために、率先して困難な課題と向き合い、変化を恐れず常に挑戦し続け、愛するふるさと今治を確かな未来へとつなげていく使命を負っているのです。
 声なき声に耳を傾け、チ-ム今治となって創り上げましたこれらの予算、そして新たな取組を、市民の皆さんや本市に関心を寄せてくださっている多くの方々にも積極的にご協力をいただきながら、着実に、そしてより効果的に事業展開していくことで、今治市の新しい風を確かなものとして感じていただけますよう、令和4年度も引き続き、全身全霊で臨んでまいりますので、議員各位及び市民の皆様におかれましては、格別のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。

 なお、提案いたしております案件の詳細につきましては、後ほど土居副市長からご説明申し上げますので、熱心なご審議を賜りますようお願いを申し上げ、開会にあたってのご挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。

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