令和4年 6月定例会

市長招集あいさつ

 開会のあいさつに先立ちまして、私からも、去る4月23日にご逝去されました故 森田博議員に対しまして、謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。

 さて、本日、第3回定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては何かとご多用のところ、ご参集を賜り厚くお礼申し上げます。
 まず初めに、このたび全国市議会議長会より、木村文広議員、故 森田博議員が20年在職議員として表彰を、近藤博議員が評議員として感謝状を受けられました。誠にご同慶の至りでございます。木村議員、近藤議員におかれましては、今後ますますのご健勝とご活躍をご祈念申し上げますと共に、市政発展のため、なお一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。故 森田議員におかれましては、長年にわたりご尽力いただきました今治市政の発展を、どうか天上よりお見守りくださいますことを願ってやみません。

 さて、新型コロナウイルスの感染状況でございますが、市民の皆様のご協力によりまして、現在のところ急激に増加することもなく、落ち着きを維持している状況でございます。
 ワクチン接種に関しましては、先月25日付で接種に係る補正予算を専決処分させていただき、すでに4回目接種をスタートしております。重症化予防を目的とした今回の特例接種は、60歳以上の方、18歳以上で基礎疾患のある方、そして、医師が重症化リスクがあると認める方が対象となりまして、3回目接種から5か月が経過した対象者から順次、接種券を発送いたします。
 今月中は主に60歳以上の医療従事者や、お歳を召された方々が入所される施設で従事される方、入所される方の接種が中心でございまして、7月以降に一般の60歳以上の方の接種が本格的に開始される見込みでございます。
 基礎疾患のある方につきましては今月1日から申請受け付けを開始しており、接種できる時期がまいりましたら接種券をお送りすることとしてございます。
 引き続き、今治市医師会をはじめ、医療機関の皆様に多大なご尽力をいただく中で、個別医療機関と集団接種会場で接種できる体制を整え、あらゆる事態を想定しながら、十分に調整を図ってまいります。

 また、コロナ禍の長期化に加え、ウクライナ危機に端を発した国際情勢の緊迫化による物価高騰等の状況を踏まえ、経済的に厳しい環境に置かれ、真に暮らしにお困りになられている方々に対する緊急対策措置として、住民税非課税世帯並びに低所得の子育て世帯等を対象とする、2つの給付金事業に係る補正予算を併せて専決処分し、速やかな支援の実施に向け、準備を進めているところでもございます。

 一方、未だ苦しい状況の中ではございますが、徐々に明るい知らせも届いてきております。

 近年、健康食品や化粧品、医療分野など多分野での需要が期待され、バイオ素材としての注目を集める「シルク」についてですが、つい先月、蚕の飼育から原料抽出までを行う、一気通貫工場「せとうちシルクファクトリー」が市内に誕生し稼働を開始いたしました。
 国内でも先進的な取組として大いに注目され、持続可能な社会の実現において、サステナブルな素材として活用される「蚕」が生み出す、フードテックやバイオ医療の支援といった「次世代型シルク産業」の創出は、まさに私が提唱する瀬戸内クロスポイント構想における地域経済循環の一翼を担っていただけるものと大いに期待を寄せるとともに、「ものづくりのまち今治」の新たな基幹産業として成長し、発展されることを願っています。

 また、今治の夏の風物詩である市民のまつり「おんまく」が3年ぶりに帰ってまいります。第25回目となる今回は、8月6日と7日の二日間、港と広小路、商店街周辺をメイン会場として、踊り、伝統、花火を中心とした、様々なイベントが計画されています。
 市民が一体となる「おんまく」が、しまなみ地域全体に、そして待ち侘びた市民の皆様の心に、確かな明かりを灯すよう実施できることを願っているところでございます。そのためにも、開催に携わる全ての皆様が感染症対策を講じるのに合わせ、市民の皆様におかれましても、引き続き感染防止対策の徹底へのご協力をよろしくお願い申し上げます。

 4月の組織再編から早や2か月余りが経過いたしました。新たに各部局に設置した政策局の連携により、部局横断による一体感と、全庁的な政策調整機能の高まりを感じているところでございます。
 新しく吹き始めた風を確かなものとするべく、全庁一丸となって様々な事案に緊張感をもって対応してまいりますので、議員各位におかれましても、一層のご理解とご協力をお願い申し上げまして、開会のご挨拶とさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

市長 提案理由説明

 この度の定例市議会におきましては、令和4年度補正予算案をはじめ、当面する市政の諸案件につきましてご審議いただくこととなってございますので、よろしくお願い申し上げます。

 去る4月26日に、事業規模約13.2兆円に上るコロナ禍での「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」が閣議決定されました。この対策は4本柱でございます。一つ目が「原油価格高騰対策」、二つ目が「エネルギー・原材料・食料等安定供給対策」、三つ目が「新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等」、最後 四つ目が「コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援」ということでございまして、本市にもこれに基づく交付金の通知をいただいているところでございます。

 今回は、この支援をしっかりと活用しながら、感染症対策と経済活動の両立はもとより、物価高騰対策とDXの推進など、社会経済活動の下支えとなるような、市民生活に寄り添ったきめ細やかな施策を展開してまいりたいと考えております。

 それでは、本日提案申し上げました案件の主なものについて、私が公約に掲げる7つの政策の柱に沿って、ご説明申し上げます。

Ⅰ 新型コロナウイルス感染症対策の強化

 まず1つ目の、新型コロナウイルス感染症対策の強化についてでございます。
 コロナ禍において、燃料高騰に直面する生活者や事業者の負担軽減を図るため、タクシー事業者への燃料費支援を行うほか、日常でのしまなみ海道通行料金の負担に加え、燃料高騰により更なる負担を伴うしまなみ沿線地域において、交通事情などの生活実態を踏まえたニーズ等調査を行い、その協力世帯に対する燃料費支援を実施いたします。
 4月にしまなみ振興局が開設いたしました。しまなみ地域が抱える課題をしっかりと分析し、実質的に島しょ部も陸地部も隔たりのない、しまなみ暮らしをより豊かなものに感じられるような政策展開に資することを目的とした調査を実施したいと考えてございます。
 また、物価高騰対応といたしましては、今治キャッシュレス決済プレミアム還元事業、飲食店プレミアムクーポン事業に加え、10月に予定するサイクリングしまなみ2022の開催に合わせたウェルカムクーポン事業など、消費者還元事業の実施により、消費喚起と観光のリピート需要を促進し、地域経済の活性化を図ってまいります。

Ⅱ 「市民が真ん中」のまちづくり

 次に2つ目の、「市民が真ん中」のまちづくりでございます。
 昨年度から継続して活動する12のプロジェクトチームに加えて、SDGsの達成に向けた取組の検討など、政策課題に対応する5つのプロジェクトチームを新たに立ち上げるほか、きめ細やかで質の高い市民サービスの実現に向け、伯方支所・しまなみ振興局合同庁舎の建設にかかる調査設計等を実施するとともに、支所移転後の跡地を地域の「にぎわい拠点」として有効かつ効果的に活用いただけるよう、スピード感を持った対応を進めてまいります。

Ⅲ デジタル化の加速・スマートシティ今治の推進

 3つ目は、デジタル化の加速・スマートシティ今治の推進でございます。
 超高速通信基盤の未整備地区へのブロードバンドサービス提供に向け、電気通信事業者が実施する取組を支援することにより、条件不利地域の解消を図ってまいります。
 暮らし方や働き方の自由度が高まる中、コロナ禍で急速に普及したテレワークなど、多様化する「ニューノーマル」に対応できる環境整備を広く促進しデジタル化を加速させ、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル社会の実現につなげてまいります。

Ⅳ 瀬戸内クロスポイント構想の実現(経済の新しい成長とi.i.imabariのパワーアップ)

 続いて4つ目の瀬戸内クロスポイント構想の実現に向けては、IT産業の誘致に向け、サテライトオフィスを開設する事業者を支援することにより、雇用の場を創出し、若者のふるさと回帰とIT人材の育成を促進してまいります。
 また、コロナ禍で営業機会の縮小を余儀なくされた市内の事業者に対し、国内外の展示会等に出展するための支援を行うことで、販路の拡大と新たな販路獲得の機会づくりを創出します。
 そのほか、農業者の生産体制の強化や、家畜伝染病の予防のための畜産事業者に対する支援を行うなど、幅広く「産業と仕事支援」を充実させ、地域経済循環にしっかりとつなげてまいります。

Ⅴ 島と海と陸をつなぐ魅力あるまちづくり

 5つ目の島と海と陸をつなぐ魅力あるまちづくりにおきましては、ふるさと納税制度の活用により、「FC今治サッカー専用スタジアム建設」プロジェクトにご賛同いただいた、デロイトトーマツコンサルティング合同会社様、三浦工業株式会社様など16企業のほか、個人の皆様方からいただいた寄附金につきまして、プロジェクトの趣旨に基づき、そのうち90%をスタジアム建設費用として事業者に助成いたします。
 なお、残る10%につきましては、本市のスポーツ振興のために活用させていただくこととなってございます。スタジアムが「にぎわいと交流の創出拠点」となりますよう、市民一体となった魅力あるまちづくりを推進してまいります。

Ⅵ ひとりひとりが輝く今治の創出

 続いて6つ目のひとりひとりが輝く今治の創出でございます。
 部局再編による「こども未来部」の創設に伴い、今治版ネウボラの実現に向け、次代を担う子どもたちの健やかな成長に資することを目的とした「今治市こども未来基金」を創設するほか、食材費が高騰する中、保護者負担を増やすことなく安全・安心でおいしい給食の提供を維持するための措置に加え、4月から保険適用となった不妊治療につきまして、治療にかかる経済的負担を軽減し、出産を前向きに検討できる環境を整えるなど、より一層、子育て支援の環境を充実させてまいります。
 合わせまして、家庭で通信環境が整わない児童生徒に対して、夏休み、冬休みといった長期休暇期間中における、家庭でのオンライン学習環境を確保し、誰一人取り残すことのない「学びの充実」を図ってまいります。

Ⅶ 防災・減災対策で災害に強いまちづくり

 最後に7つ目の防災・減災対策で災害に強いまちづくりとしましては、老朽化に伴います宝股山トンネルの非常用設備の更新費用のほか、港湾施設の補修に要する費用を計上し、施設の安全性を向上させ、市民の命を守るための対策を図ってまいります。

 この結果、今回の補正予算の総額は、一般会計で26億6,604万6,000円でございまして、本年度予算の累計額(全会計あわせて)は1,382億4,413万6,000円となってございます。
 この補正予算の財源につきましては、国庫支出金、県支出金、市債などのほか、事業執行に伴う特定財源を充当することといたしております。

 以上が補正予算の概要でございますが、これらのほか、国民健康保険税の税率を改定し、一人当たりの保険税率を8.57%引き上げる条例案や、小中学校に整備する電子黒板等の購入にかかる契約議案などを提出してございます。

 6月補正予算の編成にあたりましては、現下の最重要課題であります新型コロナウイルス感染症への対応と、物価高騰等に直面する市民や事業者への影響を緩和するための緊急かつ機動的な対策の実施に向け、積極的に新規施策を盛り込んだところでございます。
 並行しまして、市民が真ん中の理念のもと、公約に掲げる事業の着実な展開を図ってまいりたいと考えております。

 以上で、本日ご提案申し上げました議案の説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

市長閉会あいさつ

 6月定例市議会の閉会にあたりまして、ご挨拶を申し上げます。
 議員各位におかれましては、今議会に提案いたしました諸案件につきまして、全て滞りなく議決を賜り、誠にありがとうございました。審議の過程でいただきましたご意見、ご提言につきましては、今後の市政運営において留意してまいりたいと存じます。

 始めに、嬉しいお知らせが届いてございます。6月12日から7日間、ポルトガルで開催されました世界パラ水泳選手権大会の100m平泳ぎ知的障がいクラスの種目におきまして、本市の“パラリンピアン”山口尚秀選手が、大会新記録を樹立し金メダルを獲得されました。本大会は、パラリンピックに次ぐ重要な国際大会に位置付けられ、山口選手は前回2019年のロンドン大会に続く、2連覇の偉業を成し遂げたことになります。長引くコロナ禍にありながらも、前を見据え歩を進めようとする私ども市民に、勇気そして希望を与えていただいたことに感謝申し上げますとともに、日々の弛まぬ努力がもたらしたこの上ない栄冠に、お喜びを申し上げます。

 その山口選手の活躍に続けとばかりに、四国で実に24年ぶりの開催となる高校スポーツの祭典、全国高等学校総合体育大会が、来月23日から始まります。本市におきましては、ソフトテニスとボート競技の2種目が予定され、約1か月の大会期間中には、選手や監督、観覧者を含む延べ約53,000人の皆様を、おもてなしの心でお迎えし、選手の皆さんが全力で伸び伸びと躍動できる環境づくりに向け、競技運営、医療救護および輸送交通等に携わられる関係各位のご協力をいただきながら、しっかりと準備を進めてまいります。

 続いて、新型コロナウイルス対策ワクチン接種についてでございます。昨日27日時点の状況でございますが、接種対象者のうち、12歳以上で3回目接種を終えられた方の割合は、約83%となっております。年代別では60歳以上が約96%、40歳以上60歳未満が約80%、12歳以上40歳未満が約63%となっており、依然として若い世代の接種率が低い状況でございます。4回目接種が開始となりましたが、並行して3回目接種も実施しておりますので、希望される方はお早めに接種していただきますよう、また、市民の皆様におかれましても、基本的な感染対策の徹底をお願いいたします。

 さて、コロナ禍で停止しておりました海外観光客の受け入れが、政府の水際対策の見直しにより、今月10日から解禁となりました。団体ツアーのみでございますが、実に2年2か月ぶりの再開でございます。国際線の運航につきましても、主要空港に加え、来月には仙台、広島、高松などの地方空港でも再開される見通しで、ようやく、段階的にではございますが、インバウンド復活の兆しが見えてまいりました。
 国内旅行に関しましても、「県民割」の期間延長に加え、来月前半には、対象を全国に拡大いたします「全国旅行支援」がスタートする見込みでございます。
 この間、きめ細かな感染防止対策のもと、観光需要の本格的な再開に向けた準備を着々と進めて来られた事業者の皆様の地道な活動に、くまなく光が行き届くよう、経済活動と感染症対策の両立を図りながら、慎重な対応のもと、地域経済の再生に注力してまいります。

 本市と海外とを結ぶ松山空港国際線につきましても、再開の期待が高まるところでございます。中でも、本市の観光のキラーコンテンツでもありますしまなみサイクリングについてでございますが、「しまなみ海道サイクリングロード」と姉妹自転車道協定を結ぶ「日月潭サイクリングロード」を軸とした台湾との交流に関しましては、一昨年3月より空の便が欠航となるのに伴い、海を隔てたオンラインでの交流を余儀なくされているところでございます。
 本格的な交流の再開に向け、議員各位におかれましても、航路再開の際にはぜひともイベント等へ積極的にご参加いただき、当面の間叶わなかった台湾との親交を一層深めるとともに、観光のみならず産業や文化など、地域活性化に資する交流を加速していけますことを願っています。

 一方、8月に控える「おんまく」を皮切りに、10月の今治港開港100周年を祝う「みなとフェスティバル100」と、これに合わせて開催される農協まつり、漁協まつり。実に4年ぶりとなる「サイクリングしまなみ2022」と、その前日には四国初開催となる「第1回今治クリテリウム」。更には11月から始まる「せとうちみなとマルシェ」など、秋には華やかで賑やかな、希望に満ちたイベントが目白押しでございます。それぞれ安全安心を最優先に、今議会において議員各位から賜りましたご意見をしっかりと反映し、適切な対策のもと実施してまいります。

 歴史ある「交通の港」から魅力ある「交流の港」へと生まれ変わる「みなと」を背景に、まちなかへの確かな賑わいと新たなコミュニティを創出し、その変化を「瀬戸内の新しい風」として、主役となる市民の皆様にはっきりと感じ取っていただくとともに、これからの「交流と経済循環の拠点」として持続的な発展を目指し、しっかりと歩を進めてまいります。

 また、これらと合わせまして、今議会で議決を賜りました、市民や市内事業者に対する原油価格・物価高騰等に対応した様々な事業の実装につきましても、国・県の支援をいただきながら、しっかりと周知するとともに、早期の実施と利用促進により、効果を最大化できるよう全力で取り組んでまいります。
 なお、国政におきましては、来月10日の参議院議員選挙を控える中、追加の経済対策を期待する声も高まりを見せ始めております。本市といたしましてもこうした動向を注視し、県との連携を強固に市議会にもお諮りをしながら、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えておりますので、今後とも、一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、閉会にあたってのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

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