令和6年 12月定例会
市長招集あいさつ
本日、第5回定例会を招集いたしましたところ、議員各位のご参集を賜り、厚くお礼申し上げます。
師走に入りましたけれども、日中はまだ暖かい日もあります。一方で、この時期らしい気温ともなってまいりました。
例年のことではございますが、新型コロナやインフルエンザは、この時期から年末年始にかけて増加する傾向があり、また、お子様を中心にマイコプラズマ肺炎や手足口病の感染も拡大しております。市民の皆さんにおかれましては、場面に応じたマスクの着用や定期的な換気、こまめな手洗い、咳エチケットなどの基本的な感染対策にご留意いただきますようお願い申し上げます。
初めに、嬉しい報告となります。
先月10日のアウェイ戦で、J2リーグ昇格を決めましたFC今治についてでございます。当日、パブリックビューイングの会場となった「芝っち広場」には約600人ものファンが詰めかけ、会場は歓喜の渦に包まれました。
さらに、アシックス里山スタジアムでの今シーズン最終戦では、5,000人を超えるサポーターが今治タオルを振りかざし、昇格をスタジアム一体で喜び合い、その圧巻の光景に、スポーツの力による地方創生を強く感じたところでございます。
これまで何度も悔し涙を流し、それでも夢の扉が開くことを信じ、戦い続けた選手、監督をはじめ、チームやバックスタッフの皆さんの弛まぬ努力と、サポーターの皆さんの情熱に心からなる敬意を表しますとともに、私たち今治市民に熱い感動を届けていただいたことに対し、深く感謝を申し上げます。
J2の舞台では注目度も高まり、相手サポーター数も確実に増加することが見込まれ、スポーツの躍動感を地域振興に結び付けられる好機と考えています。来シーズンは、トップチームにおきましてはJ1の舞台を目指し、レディースチームは今シーズンの悔しい思いを糧に戦う覚悟と伺っておりますので、次なる航海に向けまして、市民とサポーターが一体となり、引き続き、力強く応援してまいりたいと思っております。
続いて、市内におきまして、合併20周年関連の様々な催しを開催させていただきました。
なかでも、こどもが真ん中のイベントが目白押しとなった10月13日には、「サンリオスペシャルパレード」「こどもが真ん中フェスタ」「SDGsフェスティバル・キャラクターショー」のほか、地域の魅力を発信する「市民がさんかくおむすび交流会」「せとうちみなとマルシェ」など、合わせて約7万4千人もの方々にお越しをいただき、今治港から芝っち広場まで、途切れることのない賑わいが創出されました。
また、27日に開催されました「サイクリングしまなみ2024」では、全国および27の国・地域から訪れた3,446名の参加者に、島々が織りなす圧倒的な景観の中、開放感あふれるサイクリングを楽しんでいただいたほか、11月には、国際的な自転車の安全文化の発展を図る「国際自転車安全会議」が、アジアで初めて、ここ今治で開催されるなど、全ての自転車利用者にやさしいまち「サイクルシティIMABARI」を世界に発信できたものと感じております。 期間中には、夜の今治城を舞台としました「今治城プレミアム歌舞伎」が上演され、国内外の皆さんに、幽玄な舞踊に酔いしれていただきました。
現在、愛媛県におきまして、世界最大の自転車国際会議「ベロ・シティー」の誘致を目指す中で、1つのマイルストーンになったのではないかと思っております。
このほかにも、勇壮華麗な「弘前ねぷた」が再び、今治の夜を鮮やかに彩り、合併20周年、そして2周年を迎えました「せとうちみなとマルシェ」に華を添えていただいたほか、愛媛を代表する「宇和島の牛鬼」「西条のだんじり」そして「今治の継ぎ獅子」が一堂に会し、郷土芸能の共演が実現するなど、文化の秋を感じていただける催しになったものと確信しております。
一方で、地場産業においても新たな取組が進んでおります。
現在、市内の多くの基幹産業が熟練技能者の高齢化や人材不足といった課題に直面しています。その解決に向けまして、DXの推進と新技術の導入を通じて、今治の産業の未来を切り拓いてまいりたいという強い思いから、この度、地元企業にとっての新たなイノベーション拠点となる「クロステックラボ イマバリ」を、今治地域地場産業振興センター内に開設させていただきました。
ラボには、世界初の最新鋭3Dプリンター「バトラー」や協働ロボットを設置するなど、高度人材の育成を目指す環境を整え、地元企業が新たなビジネスとイノベーションを創出する場として、革新的なアイデアの創出や新産業の発展につなげていただきたいと考えています。
国におきましては、物価高騰への対応などを柱とする総合経済対策につきまして、その裏付けとなります補正予算案が、まもなく国会で審議されるところでございます。この経済対策を踏まえた支援策につきましては、国の予算成立を待ち、対応させていただく方向で準備を進めてまいりたいと考えてございます。
なお、来年度の税制改正に向けた議論において大きなテーマとなっております「年収103万円の壁」の見直しにつきましては、働き方の選択肢を広げ、労働力確保につながる効果も期待される一方で、地方税の減収等により地方財政に影響を与えることがないよう、地方の声をしっかりと聴き取っていただけることを強く望んでいるところでございます。
12の家族が「今治家」として新たな歩みを始めて、まもなく20年を迎えます。新年1月には合併20周年記念式典を挙行し、記念事業もクライマックスへと向かってまいります。
1年を通じて実施してまいりました数々のプロジェクトでは、たくさんの市民の皆さんと対話する機会に恵まれました。「今治に新しい風が吹き始めたのを感じる」そう言っていただける声があります一方で、日々の暮らしや将来への不安を抱えておられる方もまだまだいらっしゃいます。
私自身、そうした市民の声を何よりも大切に、「市民が真ん中」の理念を軸として、今治の未来を切り拓いていく覚悟を持って、去る11月14日に、2月に行われます次の市長選挙への立場を明らかにさせていただきました。
市民の皆さんと共に描く「持続可能な魅力ある今治」を実現させるために、今後も引き続き、全庁一丸となって市政運営に取り組んでまいりますので、議員各位におかれましても、一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、開会のご挨拶とさせていただきます。
市長 提案理由説明
この度の定例市議会におきましては、令和6年度補正予算案をはじめ、当面する市政の諸案件につきましてご審議いただくこととなってございますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、本日提案申し上げました案件の主なものについて、公約に掲げる政策の柱に沿って、ご説明申し上げます。
「市民が真ん中」のまちづくり
まず「市民が真ん中」のまちづくりでございます。
伯方支所跡地活用事業の公民館及び体育館に係る整備費について、工事請負契約約款の規定に基づき、建築資材等の物価上昇に対応するため、それに係る債務負担行為予算を計上しようとするものでございます。
瀬戸内クロスポイント構想の実現
続いて瀬戸内クロスポイント構想の実現の項目におきましては、9月に今治市海事都市交流委員会より「海事都市・今治の未来創生に関する要望書」が提出されたことを受け、要望趣旨に賛同する企業の皆さんからいただいた寄附金を、今回新たに創設する基金に積み立てようとするものでございまして、これとあわせて、基金条例の改正案を提出させていただいております。
島と海と陸をつなぐ魅力あるまちづくり
続いて島と海と陸をつなぐ魅力あるまちづくりでございます。
ふるさと納税制度を活用した「FC今治サッカー専用スタジアム建設」プロジェクトに関するものとして、今年度上半期に受領しました寄附金を活用し、プロジェクトに基づく建設費の一部助成を行うもので、寄附金のうち、9割がスタジアム建設への補助、残りの1割が市のスポーツ振興に資する事業に活用されています。
このほか、「今治文化・スポーツ祭」の事業の一つとして実施に向け調整しておりました「橋田壽賀子生誕100周年記念事業」について、実施期間が次年度に跨ることが確定したことから、繰越明許費予算を計上させていただくものでございます。本事業は、一般財団法人橋田文化財団、イオンモール今治新都市と連携し、本市にルーツを持ち日本を代表する脚本家、橋田壽賀子先生の生誕100周年を記念する遺品展覧会等を実施することにより、橋田先生を介して「家族の絆」や「地域の魅力」を発信し、関係人口と交流人口の拡大を図ろうとするものでございます。
防災・減災対策で災害に強いまちづくり
最後に防災・減災対策で災害に強いまちづくりについてでございます。
愛媛県が実施する港湾整備事業において、国庫補助金の内示額にあわせて県が事業費を増額補正したことを受け、当該 県営事業負担金を増額するほか、8月の南海トラフ地震臨時情報の発表と台風10号による大雨に加え、先月2日の豪雨に伴う水防活動の応急処置費用と、農業用施設・林道・市道・公園にかかる災害復旧費について、11月11日時点の状況を基にそれぞれ計上してございます。
このほか、特別会計、公営企業会計における人事異動等による人件費の増減に加え、国民健康保険特別会計においては、過年度の診療報酬等の額の確定に伴う県支出金の返還金などを計上してございます。
この結果、今回の補正予算額は、一般会計が27億2,634万8千円、特別会計が1億87万9千円、企業会計が1,789万8千円、あわせまして28億4,512万5千円でございまして、本年度予算の累計額は、全ての会計あわせまして1,436億7,747万9千円となってございます。
この補正予算の財源につきましては、国庫支出金や市債などの事業執行に伴う特定財源を充当することといたしております。
以上が補正予算の概要でございますが、これらのほか、共生社会の実現に向け、新たに制定する「今治市共に生きる社会づくり条例」や、公の施設の指定管理者の指定を行う議案などを提出してございます。
ご提案いたしました事業の着実な執行により、安全安心な市民の暮らしを確保するとともに、更なる今治の魅力創出に向け全力を傾注してまいります。
以上で、本日ご提案申し上げました議案の説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
市長閉会あいさつ
12月定例市議会の閉会にあたり、ご挨拶を申し上げます。
今定例会におきましては、令和5年度各会計の決算認定議案をはじめ、提案いたしました全ての議案につきまして、滞りなく議決を賜り、厚くお礼を申し上げます。
国におきましては今月17日、長引く物価高騰への対応などを柱とする総合経済対策、総額約13.9兆円の補正予算が成立いたしました。本市といたしましても、すでに実効性のある施策の検討を進めており、所得の低い世帯への給付金と合わせて、一日も早く市民の皆様に安心をお届けできるよう努めてまいります。
さて、今議会は私にとりまして市長就任1期目の、そして議員各位におかれましては今任期、最後の定例会となりました。
市民の皆様の負託を受け、市政の舵取りを任せていただいて以来、今治の将来像を描き、その姿へと導いていくため、ぬくもりある「市民が真ん中」の基本姿勢を貫き、懸命に市政運営に取り組んでまいりました。この間、議会をはじめ、多くの方々から賜りました温かいご支援、ご協力に対し、この場をお借りして心から御礼申し上げます。
この4年を振り返りますと、今治の魅力が大きく花開き、持続可能な未来に向けて力強く、そして確実に動き始めたことを実感しています。
私の市長就任は、コロナ第3波の最中でありました。コロナ禍という未曽有の危機に立ち向かう一方で、スピード感を持って打ち出した数々の施策は、徐々にではありますが、確実に実を結び、昨年、今年と「住みたい田舎ベストランキング」全4部門で日本一に輝いたことに加え、「日本子育て支援大賞」を受賞するなど、取組が全国的に高く評価され、「魅力あるまち」としてのプレゼンスもますます高まっています。
市民の皆さんにお約束した公約につきましても、一つひとつ着実に形にしてまいりました。
市民の役に立つ市役所を目指す中で、ワンストップの相談窓口となる「市民が真ん中相談センター」や「今治てのひら市役所」の開設に加え、様々な機能を搭載したマルチタスク車両が「移動市役所」として地域を結び、市民のそばに寄り添う便利で優しい市役所を展開してまいりました。年明け1月6日には「しまなみ総合庁舎」が稼働を開始します。3島の総合的な行政運営機能を担う拠点として、これまで以上にきめ細やかで質の高い市民サービスを提供してまいります。
また、地域の稼ぐ力を高め、商いができる今治を実現するための取組として、2周年を迎えた「せとうちみなとマルシェ」には毎回1万人が訪れ、大きな経済効果を生み出すとともに、昨年設立した「株式会社 今治あきない商社」は民間ならではの事業展開により、瀬戸内クロスポイント構想推進の中核組織として地域経済循環に大いに貢献していただいています。
更に、「SUNABACO今治」の誘致を皮切りに、先月には、地元企業が新たなビジネスとイノベーションを創出する場として「クロステックラボ イマバリ」を開設し、地域基幹産業の人材育成と交流の拠点として、今治の未来を力強く支えるものと確信しています。
現在、我が国が直面している大きな課題の1つに「人口減少・少子高齢化」がございます。これに対処すべく私が全力を挙げて推進する「今治版ネウボラ」の取組が評価をいただいております。その核となる拠点施設整備の進捗を着実に図りつつ、子育ての不安や悩みに寄り添う「相談サテライト」の設置や、「遊び場サテライト」としての公園整備を市内各所で進めるなど、「こどもが輝くやさしいまち今治」に相応しい環境づくりにも計画的に取り組んでいます。
また、県内初となる「木のおもちゃ美術館」の誘致も叶い、再来年春のグランドオープンに向け準備を進めているところです。
こうしたひとりひとりが輝く魅力ある今治を創出するため、しまなみ海道通行料実質無料化に向けた施策を様々な形で展開するほか、移住交流施策の強化や、こどもたちの学びの充実、その環境整備の加速化、さらには、今治の未来へと繋がる合併20周年記念事業の展開や、中心市街地の再生に向けた取組などについて、段階的に進めてまいりました。
10年前に「消滅可能性都市」とされた今治市が、本年4月の公表をもって、そこから脱却できたのも、こうした人口の自然減・社会減に対応する積極的な施策展開の成果だと捉えています。
このまちには新しい風が確かに吹き始めました。しかしながら、人口減少基調は避けられないものとして続いてまいります。
将来にわたって持続可能で魅力ある今治市であり続けていくためには、これまでの4年間の取組をさらに深化・発展させるとともに、変容する社会と多様化するニーズに柔軟に対応するため、これまで以上に変えることを厭わないチャレンジングな姿勢で臨まなければなりません。
そして「市民が真ん中」のメインプレーヤーである市民の皆さんにこそ「今治の素晴らしさ、豊かさ」を再認識いただくことが何より重要です。
そのためにも、変わらず声なき声を丁寧に汲み上げ、その声に真摯に向き合う傾聴力を持って、絶えず「市民が真ん中」の基本姿勢で、今治の未来を市民の皆さんと共に創り上げてまいりたいと考えています。
大家族「今治家」の誕生20周年までひと月を切りました。
これまでの20年、そしてこれからの20年に思いを馳せ、私たちのふるさと今治が「持続可能な魅力あるまち」として発展し続けるよう、新たな時代のスタートとともに、全身全霊を尽くしてまいる覚悟でございます。
今から3年10か月ほど前、私がこの場所に初めて登壇させていただいたとき、議員の皆さんの数は30名でございました。市民の皆さんから選良された30名、この任期を全うすること叶わず、天界に召された同志が3名いらっしゃいます。私は絶えず、その方々が空席であるその椅子にお座りいただいている、そんな思いで答弁を重ねてまいりました。27名の同志の皆さんと、あらためてご冥福をお祈り申し上げたい。そして必ずや天界からふるさと今治の将来を、これからを見守りいただけるものと確信いたしております。
今任期をもってご勇退される議員の皆様におかれましては、長年のご尽力に深甚なる敬意を表しますとともに、これまで培われた経験と実績を活かして、今後とも今治の発展のためにお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
また、来たる選挙への出馬を予定されている方々におかれましては、寒い日が続いてございます。体調に留意をされ、今治市の更なる発展に向け、大いに活躍されることを願っております。
最後になりますが、あらためて議員各位並びに市民の皆様の、これまでの温かいご理解とご協力に、心より感謝申し上げますとともに、来たる令和7年が、今治市、そして市民の皆様にとりまして、希望に満ちた更なる飛躍の年となることを祈念いたしまして、閉会にあたりましてのご挨拶とさせていただきます。
4年間、そして今議会、本当にありがとうございました。
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