令和5年度 施政方針

 本日、第2回定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては、ご参集いただきありがとうございます。

 今から2年前、私は、ふるさとの進化を願う多くの市民の皆様から熱いご支援を賜り市長に就任させていただきました。以来、市民の負託にお応えすべく、今治市の輝く未来の姿を思い描きながら、「市民が真ん中」の理念のもとで懸命に市政運営に取り組んでまいりました。
 早いもので、もう2年が経過し、今、任期4年の折り返し点を迎えております。こうしたなかで、市長就任時に私が打ち出した数々のマニフェストにつきましては、最新の社会経済情勢の変化に合わせて改定しつつ、準備・検討段階から、いよいよ実施段階に入ってまいります。
 このため、令和5年度の当初予算案等をご審議いただくにあたり、最初に、今後の私の市政運営に関する考え方や主要な施策について、その概要を申し述べます。

1 ウィズコロナ対策と地域経済の立て直し

 まずその1つは「ウィズコロナ対策と地域経済の立て直し」でございます。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいはじめて丸3年、国や県、今治市医師会等とも連携しながら市民の命や健康を守ることを最優先に、今治市としても総力を結集し全力で取り組んでまいりました。
 加えて、1年前のロシアによるウクライナ侵略に端を発するエネルギー危機と物価高騰は、地域経済にも大きな打撃を与えています。こうした困難を乗り越え、新たな方向に向かって一歩踏み出すための各種事業を、国や県の支援策も活用しながら積極的に展開してまいります。

2 市民の役に立つ市役所づくり

 2つ目は「市民の役に立つ市役所づくり」であります。新年度は「市民参画の指針」を作成し、市民が真ん中の視点による市民自らが今治のまちづくりに携わる意識を深めるとともに、大規模事業等の決定過程において、市民の声を取り入れることを目的とした機関を新たに設置し、広聴機能の充実と、より一層市民の意向を反映した納得感の高い行政運営を目指してまいります。
 また、12の市町村が合併し1つの大きな家族となって18年が経過し、令和7年1月に20周年を迎えます。これまでの20年を検証しつつ、20年先の今治市の「あるべき姿」を市民の皆さんと共に描き、未来への一歩を力強く踏み出すため、「地域振興部」および「合併20周年記念事業課」を新設し、各種の準備を進めてまいります。
 さらには、デジタル技術をフル活用した「便利でやさしい」市役所づくりや、伯方支所移転後の「民間主導による跡地利用」にも本格的に取り組みます。

3 瀬戸内クロスポイント構想・商いができる今治の実現

 3つ目は、「瀬戸内クロスポイント構想・商いができる今治の実現」であります。公約で打ち出しておりました「地域商社」を新年度に立ち上げるとともに、しまなみ海道のサイクリングだけに留まらない「サイクルシティIMABARI」の実現、鈍川温泉地域の再生など、各種のまちづくり事業にも取り組みます。
 また、宝島社の「住みたい田舎ベストランキング」で2年連続1位に輝いた本市の魅力をさらに全国にアピールし、移住・定住を一層促進するとともに、住んでいる市民の皆さんからも「住んでいて良かった」と言っていただける魅力的なまちづくりを目指してまいります。

4 中心市街地活性化に向けた本格的な検討の着手

 4つ目は、中心市街地活性化に向けた本格的な検討の着手でございます。これまで「大丸跡地対策委員会」や「中心市街地再生協議会」などの場で幾度となく議論されてきた中心市街地の活性化ですが、いずれも構想が途中で頓挫してしまっております。
 現在、多くの公共施設等が老朽化し、再編整備や再配置が必要となってきている状況に鑑み、極めて困難な道であるとは思いますが、今治市の未来の発展のためには不可欠であり、かつ、今回がラストチャンスであるとの強い思いを胸に、新年度、総合政策部の中に「魅力都市創生課」を新設し、中心市街地の遊休地の活用、市役所本庁舎をはじめとする公共施設の再編・再配置などの検討に着手するとともに、まちなかの回遊性向上についても議論を進めてまいりたいと考えています。

5 「今治版ネウボラ」の創設

 そして5つ目が、私が公約で打ち出させていただいております「今治版ネウボラ」の創設でございます。「ネウボラ」という言葉は、フィンランドの言葉で「助言・アドバイスの場」を意味しており、結婚・妊娠・出産から育児までの切れ目のない支援ができる「出産・育児の支援施設」のことでございます。既にこの2年間で「子どもが真ん中親会議」「高校生との未来セッション」、さらには「子育て世代や中高生アンケート」などによりまして、拠点施設整備に対するニーズ調査を実施し、その意見等も盛り込んだ「基本構想」がまもなく取りまとめられます。
 新年度は、その基本構想をベースに、いよいよ「基本計画」づくりに着手するとともに、ネウボラ中核施設のサテライト機能を持った「乳幼児専用エリア」や「キッズパーク」を市内各地に整備してまいります。

6 安心して子育てできる環境づくり

 最後に6つ目は、「安心して子育てできる環境づくり」でございます。医療費助成の対象を18歳年度末までに拡大するほか、受験や就職を控えた中学3年生、高校3年生世代を対象としたインフルエンザ予防接種助成を開始いたします。
 さらには食材高騰による学校や保育所等での給食費の保護者負担への影響を生じさせないため、市の単独財源で年間1億円近い費用とはなりますが、思い切って支援をしたいと考えています。

 

 以上が、私の市政運営の基本方針と、主な重点施策の概要でございます。

 任期4年の折り返し点となる令和5年度当初予算の編成にあたりましては、公約の実現はまだまだ道半ばであるとの認識のもと、迅速かつ着実な政策の遂行を目指してまいります。
 また一方で、国や県においては、思い切った子育て支援策やウィズコロナ対策、DX・GX施策の展開などが進められており、今後も見直しや追加が必要と考えられるものについては、変化を恐れず、スピード感をもって果敢に挑戦するとの姿勢で、各種の施策や事業を最新のものにアップデートしながら対応してまいりたいと考えております。

 いま、社会では各所でパラダイムシフトが起こり始めています。新型コロナウイルスやデジタル技術がもたらした社会変容により、過密を避けることができない大都市圏から、自然豊かで人の温もりを感じることができる地方都市での生活へと、人々の価値観は移りつつあります。心の豊かさが求められている時代、その全てがこの今治というまちにある、それをしっかりとお見せするのが私たちの務めであると思っております。市外・県外の方へのアピールはもちろんのことではございますが、まずは、市民の皆さんに今治の素晴らしさをもっとご理解いただくこと、住みよいまちであるということを実感していただくことが何よりも重要ではなかろうかと考えています。

 「強い者、賢い者が生き残るのではない。唯一生き残るのは、変化できる者である」という言葉がございます。変化の激しい時代、変わらずに、今治というまちがあり続けていくためには時代の要請に応じて変わっていかなければなりません。私は常に将来の今治市をイメージしながら、前例にとらわれることなく、変えるべきところは思い切って変えていくという姿勢で臨んでまいりたいと思います。
 もとより、私一人が頑張ってもどうなることでもございません。今治市職員一人ひとりが、優しさを基本に、今治の未来を支え、市民の暮らしを守るという気概を持ち、新しいことにチャレンジする勇気を持って、私とともに、高度化、複雑化する課題を乗り越え、市民の皆様に「真に役に立つ施策」を力強く推進することが大切です。
 今治というフィールドが、全ての方々にとって挑戦可能となる土壌であってほしい。それぞれの皆さんが自己実現を果たし、その個や組織が有機的な連携により地域全体の活力を維持していく、そんなまち今治を次の世代に引き継いでいく、私に課せられた使命を果たすため、「市民が真ん中」の基本姿勢を貫き、職員とともに一歩ずつ着実に歩みを進め、令和5年度も引き続き、全身全霊をかけて市政運営に臨んでまいりますので、議員各位並びに市民の皆様におかれましては、格別のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、開会のご挨拶とさせていただきます。

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