○今治市議会基本条例
平成25年12月26日
条例第39号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会の活動原則等(第3条―第6条)
第3章 議員の活動原則等(第7条―第9条)
第4章 市民と議会の関係(第10条・第11条)
第5章 議会と行政の関係(第12条―第15条)
第6章 委員会の活動(第16条)
第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第17条―第19条)
第8章 議員の政治倫理、定数及び報酬(第20条―第22条)
第9章 最高規範性及び見直しの手続(第23条・第24条)
附則
日本国憲法に基づく二元代表制の地方自治制度のもと、市議会は、市民の負託を受けて選ばれた議員によって組織される市の意思決定機関である。
今般の地方分権の流れのなか、国と地方の役割も大きく見直されており、地方の果たすべき役割がよりいっそう重要となってきている。その地方分権時代の中で市議会としての機能を十分に発揮し、市民の福祉の向上及び本市の発展に寄与すべき責任は極めて重いものである。市議会には、市民の要望を的確に把握し、市民の意見を集約した政策の提案、決定をすることが求められている。また、公平かつ公正な行政の執行を確保するため監視機能を的確に果たすことも求められている。
このような市議会に期待される役割を果たしていくためには、議論の透明性を確保した市民に開かれた議会とならなければならない。市民と共に歩む議会であり、また市民から深い理解と信頼を得られる議会でなければならない。さらに、議員は市民の代表であること、そして常に重い責任を負うことを自覚しなければならない。そのためには、従来の慣例にとらわれることなく、議会改革を進めていかなければならない。
市民の福祉の向上及び本市の発展という目的達成のために、たゆまなく努力をしていくことを決意し、自らの活動の指針として、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、二元代表制における今治市議会(以下「議会」という。)の基本理念、議員の責務及び活動原則、市民との関係、市長その他の執行機関との関係及び議会に関する基本的事項を定めることにより、今治市民の負託に応え、もって市民全体の福祉の向上及び市勢の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、市政における唯一の議決機関として市民の意思を市政に反映させるため論議を尽くし、公平かつ公正な真の地方自治の実現を目指すものとする。
第2章 議会の活動原則等
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 公正性及び透明性を確保するとともに、市民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 市民の多様な意見を把握し、政策提言及び政策立案の強化に努めること。
(3) 市民本位の立場から、公平公正かつ適正な市政運営が行われているかを監視し、評価すること。
(4) 市民の市政への関心が高まるような議会運営に努めること。
(5) この条例に定めるもののほか、別に定める会議規則、委員会条例及び議会内での申し合わせ事項等を継続的に見直しすること。
(議員間討議)
第4条 議会は、言論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議を中心に運営されなければならない。
2 議会は、本会議及び委員会における議案の審議及び審査に当たっては、議員相互間の議論を尽くすよう努めるものとする。
(政策討論会)
第5条 議会は、市政に関する政策及び課題に対して、必要があるときは、政策討論会を開催する。
(議決責任)
第6条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、地方公共団体としての意思決定又は政策決定をしたときは、市民に対して説明する責務を有する。
第3章 議員の活動原則等
(議員の活動原則)
第7条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 市政全般についての課題、市民の意見及び要望等を的確に把握し、また自己の能力を高めるために不断の研さんに努め、市民の代表としてふさわしい活動をすること。
(2) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとどまらず、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
(会派)
第8条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、基本的政策が一致する議員で構成し、活動する。
3 会派は、政策決定、政策立案、政策提言等に関し、会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。
(政務活動費)
第9条 会派及び議員は、政務活動費を有効に活用し、市政に関する調査研究を積極的に行うものとする。
2 会派及び議員は、政務活動費を適正に執行し、市民に対して使途の説明責任を負うものとする。
第4章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第10条 議会は、市民に対し積極的にその有する情報を発信し、説明責任を十分果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、常任委員会及び特別委員会を原則公開とする。
3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第115条の2(法第109条第5項において準用する場合を含む。)に規定する学識経験者等からの意見聴取及び公聴会制度並びに参考人制度を活用して市民等の意見等を聴き、議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、市民の多様な意見を把握するため、市民との意見交換、議会報告の場を多様に設けるものとする。
(広報広聴機能)
第11条 議会は、議会及び市政に対する市民の関心を高めるよう広報広聴機能の充実に努めるものとする。
2 広報広聴機能を効果的に発揮するために、議会に委員会その他の組織を置く。
第5章 議会と行政の関係
(議員と市長等執行機関の関係)
第12条 議会審議における議員と市長等執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。
(1) 本会議における議員と市長等の質疑応答は、市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行うことができる。
(2) 議長から本会議及び委員会への出席を要請された市長等は、議員の質問に対して、論点整理のため当該議員にその内容を確認することができる。
(3) 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を経由して市長等に対し文書により質問を行うことができる。この場合において、市長等に文書による回答を求めることができる。
(議会審議における論点情報の形成)
第13条 議会は、市長が提案する政策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、市長等に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
(1) 政策の発生源
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 市民参加の実施の有無とその内容
(5) 総合計画との整合性
(6) 財源措置
(7) 将来にわたるコスト計算
2 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前項の規定に準じて、施策別又は事業別の説明を市長等に求めるものとする。
(監視及び評価)
第14条 議会は、市長等の施策及び事業の執行について、事前又は事後に監視する責務を有する。
2 議会は、本会議における審議、議決等を通じて、市民に対して市長等の施策及び事業の執行についての評価を明らかにする責務を有する。
(政策立案、政策提案及び政策提言)
第15条 議会は、市の政策水準の向上を図るため、政策立案機能の強化に努め、必要があるときは、条例の提案、議案の修正及び決議等の政策提案を行うとともに、市長等に対し、政策提言を行うものとする。
第6章 委員会の活動
(委員会の適切な運営)
第16条 委員会審査に当たっては、資料等を積極的に活用しながら、幅広い活発な議論を行うよう努めなければならない。
2 委員長は、委員会の秩序保持に努め、委員長報告を自ら作成するとともに、質疑に対する答弁も責任を持って行わなければならない。
3 委員会は、市民から要請があるときは、審査の経過等を説明しなければならない。
第7章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第17条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、広く各分野の専門家及び市民等との議員研修会を開催することができるものとする。
(議会図書室)
第18条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。
(議会事務局の体制整備)
第19条 議長は、議員の政策形成及び立案を補助する組織として、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るよう努めなければならない。
第8章 議員の政治倫理、定数及び報酬
(議員の政治倫理)
第20条 議員は、市民の代表として、高い倫理的義務が課せられていることを常に自覚し、良心と責任感を持ってその責務を果たすとともに、品位の保持に努めなければならない。
(議員定数)
第21条 議員の定数は、人口、面積、財政力及び市の事業課題を基準に勘案したものとする。
2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するものとする。
(議員報酬)
第22条 議員報酬の改正に当たって、議員及び委員会が提案する場合は、市民の客観的な意見も参考にするものとする。
第9章 最高規範性及び見直しの手続
(見直し手続)
第24条 議会は、一般選挙を経た任期開始後、できるだけ速やかに、この条例の目的が達成されているかどうかを検討するものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、平成26年4月1日から施行する。
附則(平成28年3月22日条例第31号)
この条例は、公布の日から施行する。