トップページ産業振興課桜井漆器のルーツを追って伝統の匠が見えてくる(漆器製造工程)

伝統の匠が見えてくる(漆器製造工程)

漆器製造工程

下地・研ぎ

素地に生漆、地ノ粉、砥粉などで作った下地をヘラでつける工程。下地師の仕事はその研ぎと共に製品の堅牢さ、仕上げの美しさを左右する大切な工程である。

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上塗り

上塗りは上塗師が上塗漆をかけての仕上げ塗りのことである。上塗りには二つの方法があるが、朱でも黒でも塗放しにして仕上げる「塗り立て」が桜井では伝統の技術である。

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蒔絵

蒔絵技法には主に平蒔絵、高蒔絵、研出蒔絵などがある。無地の漆器の完成品に、金粉、銀粉、切金、夜光貝などを用いて加飾する工程である。技法は複雑を極め蒔絵師の腕の見せどころである。

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沈金

沈金は完成した無地の漆器に専用のノミで文様を彫り込み、その文様に金箔を沈め込む加飾法である。線彫り、点彫り、毛彫りなど技法は様々であるが、沈金師は各々、独自のノミを工夫して彫る。失敗を許されない緊張の連続の仕事である。

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先輩の教えを大切にいいものを作っていきたいですね

「この世界に入って8年になりますが、まだまだ勉強中なんですよ。」と謙虚に語ってくれたのは、蒔絵師の岡田さん。絵やデザイン好きが高じて飛び込んだ世界。

「私は芸術家ではなく、職人なんです。ですから、1つの歯車としての存在を大切にしながら、いいもの作り、買いたくなるもの作りを目指しています。」後継者不足に悩むこの業界にとっては、希望の光です。

ただ、「伝統の灯を守り伝えていくには、もっと若い仲間が必要なのではないでしょうか。」

「非常に困難ですね。まず、漆器を知る機会が少ない。したがって、漆器の門を叩く若者がいない。いても、定着する環境が整っていない。ですから、今後こうした課題を1つ1つクリアーしていくことが必要ですね。」

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