父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました
父母が離婚後も適切な形でこどもの養育に関わりその責任を果たすことは、こどもの利益を確保するために重要です。
2024年(令和6年)5月に成立した民法等改正法は、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権、養育費、親子交流などに関するルールを見直しています。
この法律は、2026年(令和8年)4月1日に施行されます。
民法等改正法の詳細については、下記法務省のホームページやパンフレットをご確認ください。
親権・養育費・親子交流などに関する民法改正のポイント
父母の離婚後のこどもの養育についての法律が見直され、親の責務や親権、養育費、親子交流などの様々なルールが新しくなりました。
1 親の責務に関するルールの明確化
【こどもの未来を担う親としての責任】
親権や婚姻関係があるかどうかに関わらず、こどもを育てる責任と義務についてのルールが明確にされました。
こどもの人格の尊重
こどもが心も体も元気でいられるように育てる責任があります。こどもの利益のため、意見をよく聞き、人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
こどもを養う責任を指します。こどもが親と同じくらいの生活を送れる水準でなければなりません。
父母間の人格尊重・協力義務
こどものためにお互い尊重して協力し合うことが大切です。下記のようなことは、このルールに違反する場合があります。
- 暴力や相手を怖がらせるような言動
- 他方の親によるこどもの世話を不当にじゃますること
- 理由なくこどもの住む場所を変えること
※暴力等や虐待から逃げることはルールに違反しません。 - 約束した親子の交流をさまたげること
すべてはこどもの利益のために
親権はこどもの世話やお金や物の管理など、こどもの利益を守るために使わなければなりません。
2 親権に関するルールの見直し
【新たな選択肢が広がります】
1人だけが親権を持つ【単独親権】のほかに、離婚後に父母2人ともが親権を持つ【共同親権】の選択ができるようになります。
父母2人とも親権を持つ【共同親権】の場合
≪日常のことは、一方の親で決められる≫
毎日の生活に必要なこと、例えば食事や着る服を決めること、短い旅行、予防接種や習い事などは、父母のどちらかで決めることができます。
≪大切なことは父母2人で話し合う≫
こどもの住む場所を変えることや将来の進学先を決めること、心と体の健康に大きな影響を与える治療やこどものお金の管理などについては父母が話し合って決められます。なお、父母の意見が対立するときには、家庭裁判所で、父母のどちらかが1人でその事項を決められるようにする裁判を受けることもできます。
※父母間の合意がない場合は裁判所が関与します。
一方の親が決められる「緊急のケース」
暴力等や虐待から逃れるために引っ越すこと、病気やけがで緊急の治療が必要な場合などは、父母のどちらも1人で決めることができます。
3 養育費の支払い確保に向けた変更点
【こどもの生活を守るために】
養育費を確実に、しっかりと受け取れるように、新たなルールの創設やルールの見直しが行われました。
取り決めの実効性アップ
文書で養育費の取り決めをしていれば、支払いが滞った場合にその文書をもって一方の親の財産を差し押さえるための申立てができるようになります。
法定養育費とは
離婚時に養育費の取り決めがなくても、こどもと暮らす親が、こどもと暮らしていない親へ、養育費を請求できる制度です。離婚後もこどもの生活が守られるよう設けられました。養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものです。
※法定養育費は父母間で取り決めるべき養育費の標準額や下限額を定める趣旨のものではありません。
裁判手続きがスムーズに
家庭裁判所は養育費に関する裁判手続きをスムーズに進めるために収入情報の開示を命じることができることとしています。また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。
4 安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
【こどものことを最優先に行われます】
親子交流や父母以外の親族との交流に関するルールが見直されました。
親子交流の試行的実施
家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所はこどものためを最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し実施をうながします。
婚姻中別居の親子交流
父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、決まらない時は家庭裁判所の審判等で決めることがルールとなります。
父母以外の親族とこどもの交流
祖父母などとこどもとの間に親子関係のような親しい関係があり、こどものために必要があるといった場合は、家庭裁判所はこどもが父母以外の親族との交流を行えるようにできます。
お問い合わせ
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